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2008年08月26日

北京五輪の感想


あっという間に終了した北京オリンピック
単純に楽しかったな~と思う。
ほら、当初、いろいろな問題が(政治など)絡み、「どうなるんだよ、おい」みたいなところがあったけどさ、テロもなく、無事運営されて、良かったなって思うよ。

普段は「まず見ないだろう」と、思われる競技、俺だったら、フェンシング、ホッケー、レスリング、カヌー・・・などなど、なんかオリンピックになると見ちゃうから不思議だね。

もし、オリンピック競技に出るとしたら何?
その、才能とか、環境とか、関係なくさ。
俺だったら、「100メートルのファイナル」やな。
俺以外の、7名はスキンヘッドのブラックで、俺だけ東洋人
各国の、テレビも「あいつは誰でしょう?」とか「あいつだけ浮いてますよ」なんて言われながら、一番でゴールし、勝利パホーマンスは、座布団に座り仏壇に手を合わせるみたいなさ、ニックネームが「アジアの光ファイバー」なんていいんじゃないかな?
やっぱ、100メートルファイナルだよな。


北島選手の100メートル優勝インタビューは、心震えました。
アテネでは「気持ちいい!・・・」って言ってた彼が、涙し声を震わせ、言葉にならず、淡々と、「今の気持ちは?」と聞かれ、サービスとして「超気持ちいいですね・・・」と答えたあたり、人間的な成長と、男としての成長を感じて、俺感動しました。
これから、陸の上で、モテまくってください。


女子ソフトボール決勝、これも「キタ」ね。
2アウトめのサードライナーとか、画像じゃよくわかんないけど、キャッチしてたでしょ?
最後もサードゴロ。
実況アナは叫び、解説者は泣き、俺もいっちゃいました。
ありがとう!


残念なのは野球
星野さんの今の心境を考えると、かわいそうでさ。
でもまた、しばらく休んだら、強気の星野に戻って、「歯にきぬ着せぬ物言い」で、ブラウン管に登場して欲しいと思う。
でも、結果として、日本の野球は、韓国、アメリカ、キューバより下のランクだと、認識した上で、WBCなどにも臨むべきだろう。
「金以外はいらない!」じゃなくて「結果はどうあれ、チャレンジします!」みたいなさ、横綱に挑む関脇くらいの位置づけからスタートしないと、プレッシャーにつぶされるよ。日本人ってプレッシャーに弱いほうじゃないかな?むしろ「まあ、負けたら、上海で女抱いてかえろ~と」くらいの気持ちの方が、いい結果が出るような気がするけどな。


男子サッカーも残念
でも俺、以前ブログにも「3連敗あるかも」と書きましたが・・・。
まあ、良くとらえるならば、中途半端に引き分けるより、気持ちはいい。
「なんて、弱いんだ」「実は弱かったんだ」って、素直に思えるしね。
覚えてるかな?、日韓ワールドカップ前のフランスとの親善試合、なんと5-0で負け。
「なんて弱いんだ日本!」と、誰もが思い、「こりゃワールドカップ大丈夫かよ」とも思ったことでしょう。
しかし、コテンパンに打ちのめされたから、何の言い訳もできず、「俺達は弱いんだ」と言うことを認め、本番では、ある程度の結果が残せたと思うけどね。


野球にしても男子サッカーにしても、国内に与える影響力は大きいから、ぜひとも泥沼から這い上がってほしいと思います。
キーワードは「俺達は弱い、どうしたら勝てる?」ってところからのスタート。


まあ、でも、おもしろかった。

スポーツのいいところは、勝ち負けがはっきりするところかな
音楽って、感じるものだから、あのバンドよりこのバンドが上なんて、決められないんだよね。
しいて言うなら集客力か?
でも、友達が多ければ、義理でチケット買うしな~。
う~ん、むずかしい。
まあ、いいや、音楽は楽しもう。


次のロンドンは見たい!
だって、ビートルズとストーンズとレッドッエッペリンの国でしょ。
そん時まで、健康でいよっと。


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30日(土)
“Dear Songs”
OPEN 19:30~ START 20:00~
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《BAND》
○LITTLE VOICE
○Re-plica


BYナリハラ
  
Posted by PSPスタッフ at 11:06Comments(0)

2008年08月25日

Display of Passion

夏の終わりを、若干感じる、8月23日でした。
Display of Passion」・・・お熱いことで・・・という意味なのですが(主に恋愛に関しての表現)、実際は涼しさも感じた土曜日だったかな?
で、PROJECT of PASSPORT 企画以外にも、バイパスのスペースでもライブ、夜中に清見でもイベント(雨だったし、あったのかな?)、翌24日(日)は、清見ウットホーラムにてライブ、と、ライブイベント盛りだくさん。
Display of Passionに関しては、たくさんの方に来ていただき、心より感謝しております。
単純に、野外じゃなくて、屋根があるといいね。
雨で中止ってのがないからね・・・。
でも、野外も捨てがたいんだよな~。
トンチャン焼いたりね



SPREAD GERM・・・・あと二つのバンドが、レディスボーカルと言うこともあり「俺ら野郎ばっかで、うざってーんで、さっさとやって終わります・・・」ってなMCを言ってたけど、そんなことはない。確かに、花はない・・いやいや、あればいいってもんじゃない。
もう何回も、出てくれて、ありがとう。





LAPIS・・・正確に言うと、元ブルーレイス、言っていいのかな?まあいいや。ドラム、ベース、キーボード、ボーカルの4人で、オリジナル、J-POPナンバーを、心地よく聴かせてくれたよ。なんかさ、ガッツンガッツンしたバンドばっか聞いてると、「あ、これぞ音楽」って、素直に思ってしまいました。よいギターが見つかればいいね。





Bitch mam・・・5月以来?のステージ。レディスツインボーカルの、はね系のボーカルスタイルに、バックもしっかりしていて、はねてました。ベースが新メンバーになり、(前は女の子だったよな?)、ツインボーカルを支えるみたいなね。終わった後、息をきらす様子や、汗をかいている様子をみると、エネルギーの消費がよくわかるよ。おつ。





みなさん、お疲れ様でした。


パスポートを出ると雨・・・。
「明日のイベント中止やね・・」なんて、思いながら帰りましたよ。

ところが、24日は晴れ。

俺も、KGBってバンドでちょいと出させていただき、ビールやフードをたくさんもらい・・・ありがとうございました。


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BYナリハラ







  
Posted by PSPスタッフ at 09:21Comments(5)

2008年08月22日

Last Telephone



談合坂サービスエリア駐車場。
PM6:20.
スカイラインにガソリンを満タンにいれ、さらに予備タンクにも30リットル、そして、おにぎり、サンドゥイッチ、お菓子、ドリンク類、マイルドセブンなどを買い込み、携帯用トイレを二つ用意し、黒のワンボックスカーを待った。
マイルドセブンに火をつけ、BGMは『マイルスデイビス』。
外は暗く、寒く、車内にはトランペットの音色。


俺は、与えられた仕事をこなす機械と化す。
冷たく無表情で、何の誘惑にものらず、ただただ目的を達成するためだけの機械。
そして、それが『生きがい』。
生きる証。
俺は、充実していた。


めずらしく仕事前にミーナからの電話。
「どう?準備は?」
「めずらしいな、仕事前に、俺の声が聞きたくなったとか?」
「まさか?いい、この仕事がうまくいけば、あなたを幹部に入閣させるわ」
「幹部?そりゃ、うれしいね。ハワイ旅行が待ってるとか?」
「あいかわらず庶民ね、いい?、私と同じ立場になって、一緒に仕事するのよ、報酬も今までとは桁が違うわ、どう?」
「君に会えるのか?」
「そうね、そおゆうことになるわ」
「もし君がブスだったら?」
「ありえない話ね」
「だったら交渉成立だ」
「まだ、早いわ、仕事が終わってからよ」
「ミーナ安心しなよ、俺は機械だよ、目標達成のためのね。女の子を乗せ、高速を走り、広島駅で白のBMWに乗せかえる。その間、喋らない。誰とも接触しない。トイレだって携帯用で済ます。そして、君からの電話を待つ。そのために俺はここにいる。それ以上でもそれ以下でもない」
「フフフ・・・、会える日を楽しみにしてるわ」


PM7:00、黒のワンボックスカーが止まり、後ろのドアから男が眠っている『女の子』を抱きかかえて降りてくる。
俺の車に近ずき、ドアをノック、後ろのドアを開けると、女の子を寝かしたままバックシートに置き、挨拶も何もなく去ってゆく。
目も合わせず、無論会話はない。


『女の子』は6歳か7歳くらいか?
眠っている・・・。
『女子高校生』を勝手に想像していた俺は、少々驚いたが、関係ない。
俺は責任を果たすだけだ。


俺は、スカイラインを加速させる、『マイルスデイビス』のトランペットの音色と共に・・・。


俺は時折バックミラーで女の子の寝顔を確認する。
女の子は泣いたのだろうか?
涙の筋がいくつも頬を伝っていた。
その涙のわけを考えようとしたが、いつものように「意味なんてない」と、自分の思考を殺した。


2時間ほどして女の子が目を覚ました。
「・・・ここ、どこ?・・・」
俺は喋らない。
「誰?お兄ちゃん誰?」
俺は喋らない。
「どこ行くの?」
俺は喋らず、運転に集中する。
「怖いよ・・・」と、女の子はすすり泣く。
俺は、微動だにしない。


女の子のすすり泣く声と『マイルスデイビス』がリンクする。


俺は助手席にあるオレンジジュースとお菓子を女の子に渡す。
女の子は泣きながらそれを飲む。
俺はマイルドセブンに火をつける。


「・・・おうち帰りたいよ・・・」
俺はタバコを深く吸う。
「ママ・・ママ・・・」
バックミラーで女の子を見る。
きれいな子だ。
左手で涙をぬぐいながら、右手でオレンジジュースのペットボトルを握りしめる。
小さな体を震わせ、時々咳き込み、「ママ・・・ママ・・・」と、力なくつぶやく。


俺の中で、忘れていた『何か』が蘇る。


熱いものがこみ上げる・・。


俺は中津川インターで高速を降り、路肩に車を止める。


そして言う「大丈夫だよ、安心して、怖くないから、おうちに帰ろう」


俺は『機械』を卒業した。


中津川インターで上り車線に入り、東京方面に向かう。
「おうちどこなの?」
「八王子」
「駅からは帰れる?」
「うん」
「じゃ、そこまで送ってあげるよ」
「うん」
「おしっこは?」
「大丈夫だよ」
「大塚愛、聞く?」
「うん」
俺は、CDをチェンジする。
『ピーチ』を一緒に歌う。
女の子は、少しだけ笑う。
俺も笑う。


携帯が鳴る・・・非通知・・・ミーナ。
「いったいどおゆうこと!」彼女は怒っている。
しかし俺だって怒っている。
「この子はまだ子供じゃないか!これは誘拐だろ!違うか!ミーナ!」
「あなたはそんなこと考える必要はない!いい!今ならまだ許してあげる、引返して!」
「嫌だ、この子を家に送り届ける、この子はお母さんに会いたがってる」
「その子の母親はいない、いかれた父親がいるだけよ!」
「ならば、なぜ!この子を広島に連れて行く?」
「・・・・」
「答えろ!ミーナ!」
 

俺の怒鳴り声に女の子は、再び泣き出す。
「ゴメンゴメン、すぐ終わるからね」と言ってなだめる。


「いいか、ミーナ、理由を言え、言わなければ、このまま引返す」
「・・・・その子の父親からの依頼なのよ、父親にはお金も支払ってある、広島からタイへ向かう貨物船が出る、それに乗せるの・・・」
「お前、何言ってんだ?」
「その子が父親といても幸せになれない、いつ傷つけられるかわからない、タイへ行けば生活は保障されるし、世話役の人もいい人よ、わかるでしょ?」
「・・・ロリコン達の受け皿ってことか?・・・」
「そうよ」


俺は電話を切った。


大塚愛は『スマイリー』を歌っていた・・・・。


俺は夜遅く八王子駅で女の子を降ろし「あそこの交番に行って、迷子になりましたって言うんだよ」と言った。
女の子は「バイバイ」と言った。
俺も「バイバイ」と手を振った。


もちろんその後、ミーナからの電話が鳴ることは無かった。


俺は、再びボロアパートで暮らし始めた。
何とか印刷工場に入社し、昔同様、何の生きがいもなく暮らしている。


やがて1年後、全国規模の犯罪組織が摘発された。
その組織は、自分たちの手を汚すことなく、南アジアをターゲットに、人身売買や麻薬の横流しなどで、荒稼ぎをしていたらしい。


TVニュースがトップで伝える。
顔写真と氏名年齢。
その中に「立花美奈 27歳」。
俺にはわかった。
それがミーナだってことが・・・。


彼女が言っていた通り『いい女』だった。


5年後、俺は結婚し子供が産まれ、ボロアパートでささやかに暮らしていた。



携帯が鳴る・・・非通知・・・「えっ誰?」
「はい、もしもし?」
「番号変えてなかったんだ、お久しぶりね」
俺は、戸惑ったものの、電話の主が『ミーナ』であることに気づくまでには、大して時間はかからなかった。
会話は続く。
「君こそ、出てこれたのか?」
「1週間前に出所したわ」
「TVでミーナを見たよ。『いい女』ってのは本当だったんだな」
「嘘は嫌いなほうでね・・・」

ミーナは少しだけ笑った。

「ねえ、なぜ、あの時、いきなり正義の味方になっちゃったの?それが私にはわからない。あなたはどんなことでも素直に従ってくれたわ。組織の中でも評価は高かったのよ。最終的には『モラル』さえも捨ててくれたと思うの、なぜ?子供に弱いの?傷つけるんじゃなくて、送り届けるだけの仕事だったのに・・」
「・・・、俺はそん時、まさしく『機械』だったよ。別にいい人でもなかったし、あんたが言うとおり、無くすものは何も無く、夢も希望もなく、どうでもいい人生を生きていた。あの時の感情は今までうまく言えなかったけど・・・」
「けど?」
「今はわかるよ」
「どうわかるの?」
「子供がいるからかな?」
「?」
「君もいつかわかるよ、悲しんでいる小さくて弱い人間がいたら、手を貸したくなるってことをね」
「・・・わからないわ・・・」
「いつかわかるさ」
「その前に、就職先探さなくっちゃ」
「印刷工場なら紹介するぜ」
「フフフ、遠慮しとくわ」


ミーナとの最後の電話はこんな感じで終わった。


俺は冷蔵庫を開け、発泡酒を飲む。


「酔っちまえば、なんでも同じ・・・」と、つぶやく・・・



・・END・・・



PS・・・昨日のソフトボール感動しなかった?俺、マジで泣いたぞ。解説者も解説してなかったね、だって「よし!」とか「やった!」ってね。でも、気持ちわかるな~。あとは、野球の日韓戦は見る!









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23日(土)
“Display of Passion”
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《BAND》
○Bitch mam
○LAPIS
○SPREAD GERM


BYナリハラ

  
Posted by PSPスタッフ at 05:28Comments(3)

2008年08月21日

Telephone4



最初の電話から、もう4ヶ月になろうか?
あの日は西陽が差し込む暑い日だったけど、今は木枯らしさえ吹く12月。
街はあわただしくなり、何処かのスピーカーからジョンレノンの声が響く。
1980年12月、40歳で死んだ彼は、多くの人を悲しませ、そして多くの人にメッセージを残し、ピストルの銃声と共にいっちまった。


俺が今死んだら?


誰も悲しまず、何のメッセージも残せず・・・。
渋谷のスクランブル交差点で信号待ちしている大勢の中の一人の死。
スターを取り囲むギャラリーの中の一人の死。
免許証番号A425686987号番の死・・・。


ジョンと俺の違いは明らかだ・・・だからと言ってどうってことはない・・・意味なんて最初からない・・・。


ミーナからの電話はその後も続いた。
俺は彼女からの指示に従い、それをクリアーすることに情熱を燃やし、『合格』を願って、電話を待った。
「合格よ、よくやったわ・・・」と、彼女は言った。
そして報酬も最初は10万だったけど、段々と値上がり、今では30万~40万といったところだ。
指示の内容は、意味不明なものばかり。
マグロ漁船に乗せてもらい、一匹吊り上げる、4日以内。
ボーリングスコア200点以上を出す。1日以内。
場所は問わないが、『松茸』を見つけ、5万円以上換金する、7日以内。・・・などなど。


俺は、アルバイトもせず、ミーナからの電話を待ち、依頼をクリアーし、そのお金で生活するようになっていた。
ボロアパートから、2DKのマンションに、死にかけのワゴンRから中古ではあるがスカイラインに、壊れかけてイマイチ冷えない冷蔵庫も買い替えた。


俺はなんの疑いもなく、ミーナからの指示をこなした。


いや、違うな・・・、望むようになった・・・彼女からの指示を・・・「よくやったわね・・」という言葉を・・・望むようになった・・・生きがい?・・・ダッセー言葉なんで使いたくないが・・・幼稚園児のような素直な気持ちで言うならば・・・『俺は、彼女からの電話が、生きがいだ!・・・』


彼女との会話も、少しは人間的な感じになっていた。


「ねえ、ミーナ、レザージャケットどう思う?」
「レザーはセクシーよ。ただ、着る人の骨格によるわ、肩幅がないとグッとこないわ」
「そう、俺、自信ないな・・・」
「勘違いしないで、あなたがどうこうではなく、私なりの男性用レザージャケット論よ・・」
とか、
「今、キムチ鍋、暖めてるんだけど、一緒にどう?」
「気持ちだけありがたくいただくわ、それに鍋って、髪に匂いが付くから嫌いなの・・」
とか
「ミーナはどんな顔してるの?」
「フフフ・・・、もちろんいい女よ」
「タレントで言うと?」
「該当者なしね」
「沢尻とか?」
「あんなガキと一緒にしないで・・・」
など。


ね、人間的でしょ?


11月に入ったころから、指示の内容は若干「きな臭い」ものになっていく。


大阪難波にあるゲイバーの裏口で、手渡された『包み』を、その夜のうちに新宿のマンションに届ける。
その間、誰とも一切口をきかない。


富山の指定された港で、黒人一人とロシア人2人を車に乗せ、横浜の港までノンストップで送り届ける。
私語はなし。
トイレもなし。
もらしちまったら、そんときはそんとき。


などだ。


普通に考えれば、降りるべきだろうけど、俺は従い、目標達成のために、最善を尽くした。


金のため?


確かにそれもあるだろうけど、それよりも、ミーナからの「よくやったわね」の一言が聞きたかったのかもしれない。
彼女からの電話を待ち、その言葉に、エクスタシーさえ感じた。
俺は、彼女の『言葉の奴隷』と化していた。
俺が最後に持っていた、『残飯みたいなモラル』でさえ、生ゴミと一緒に捨てちまった。


携帯が鳴る・・・非通知・・・ミーナ。
「やあ、ミーナ、今、バーで飲んでるんだけど、出てこない?」
「何を飲んでるの?」
「ジントニック」
「缶の発泡酒じゃなくて?」
「発泡酒はさよならだ」
「あなたも少しはマシになったわね。良いことよ」
「君のおかげかな?」
「素直にもなったわ、ゥフフフ・・・」
「これを成長って言うんだろ?」
「成長、もしくは進化、脱皮、変身、表現方法はいろいろあるわ、ちゃんと日本語を勉強しないとね」
「ああ、そうするよ」


俺は彼女の言い方にむかつくこともなく、むしろ心地よさを感じ、お行儀のよい男になる。
なぜなら、『生きがい』だから・・・。


「仕事の依頼よ、50万が振り込んであるわ、中央高速下りの談合坂サービスエリアで車を待機させて、黒のワンボックスカーから女の子を受け取り、広島駅前まで送る。白のBMWが止まっているから、そっちに移す。一切喋っちゃダメ。トイレも車を止め、携帯用トイレで済ませる。車から降りちゃダメ。時間は明日午後7時きっかり」
「OK」
「それだけ?」
「だって、聞いても教えてくれないだろ?」
「フフフッ、うれしいわ、あなたを信頼してるのよ、こう見えてね」
「ミーナを見たことないよ」
「いい女だから安心して」


電話が切れる。


俺は店のマスターに尋ねる
「俺の職業を当ててみてよ」
マスターは微笑みながら「公務員じゃないし、サラリーマンっぽくもないな、なんだろう?先生だったりしてね」と言う。
「正解、明日、教え子の女の子を実家まで送ってあげるんですよ。最近はそんなことまでしなくちゃならないなんて、教師の世界も大変ですよ」
「高校の先生?」
「そう、よく分かりますね、しかも女子高ですよ」
「へえ」


俺はジントニックをもう一杯飲み、店の外に出る。
外は寒く、レザージャケットの襟を立てる。
ジョンレノンの「ハッピークリスマス」が聞こえる。


クリスマスはもうすぐだ。




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Posted by PSPスタッフ at 12:30Comments(2)

2008年08月20日

Telephone3



俺の中に「目的」が芽生える。
「目的」・・・確かに、ここ何年か感じたことが無い響きだ。
この「目的」は、ミーナが与えてくれた、すばらしき意味不明な不条理さを兼ね備えてはいるものの、俺は「目的」を達成しようと、行動し知恵を絞り報酬を前払いでもらう。
ミーナが与えてくれる「目的」に意味はあるのだろうか?
「ない」これが結論だ。
でも、考えて欲しい。
何を?
生きる意味なんてはなっから無い事を・・・。
物事に意味なんて無い、意味を持たせようとする連中を見かけたらこう言ってやる。
『てめえのうす汚たねえアナルと同じように、意味なんてねえんだ』と。



『信濃川をきれいにする会』の清掃活動にはすぐに参加できた。
本部テントに行き、「僕も参加したいのですが」と言うと、「それはそれはありがとうございます。こちらにご署名を・・」と、60歳くらいの男が答えた。
「あの・・」俺は切り出した。「この会の幹部の方はどちらに?」
男は答える「幹部という偉そうなものではないんですが、まとめ役と言いますか、窓口と言いますか、その方々は一緒に清掃活動をされていますよ。ロゴ入りの腕章をはめておられる人が10人ほどみえて、この会のまとめ役です」
俺はお礼を言い、ゴミ袋、軍手、ゴミ取りばさみを受け取り、ロゴ入り腕章をはめた人を探した。
そして、その人の前でゴミを拾った。
黙々と拾った。
目立つように拾った。
時には、「あー、随分ひろったな~」と、声をあげてみた。
腕章の男は、俺を見て微笑み、軽く頭を下げた。
俺は話しかける「ずいぶん汚れていますね。これじゃ川がかわいそうですよ。僕の生まれた町にも川があって、その川は・・・」
俺の話の途中で、腕章の男は、向こうの誰かに呼ばれ、「じゃあ、がんばってください」という言葉を残し、俺の前をスルーした。


俺は別の腕章の男を見つけ、こんな感じで、なんとか自分をアピールし、そう、『認められる』ために行動した。
しかし、『認められる』という認識は、ひいきめに見ても感じられず、時間は過ぎ、午後5時、終了のアナウンスが流れ、全員が本部テントの前に集まった。


俺は、焦っていた。
「どうすれば、どうすれば、認めてもらえる?」
本部テントの前には、400名ほどの参加者が、対面には腕章をつけた幹部?が・・・。
幹部の一人がマイクを持ち話し出す「え~、本日はお忙しい中、信濃川を美しくする会にご参加いただき、誠にありがとうございます。この会は・・・・・・・・・」


俺はギャンブルに出る。


「すいませーん!ちょっといいですか!」
俺の大声に、400名が氷りつく。

こうなりゃ、やけだ。
ミーナが言うとおり、俺には、失うものは何も無い・・・。

「僕はこの会に参加できて今とても感動しています。こんなすばらしい・・・こんなすばらしい・・ウゥ・・」俺は泣き真似を入れる、そしてジーンズの後ろポケットから振り込まれた札を出し「お願いします!こんなすばらしい団体の皆さんに、寄付をさせてください!」
俺は最前列まで行き、腕章の男にお金を渡すと、泣き崩れる真似をした。
腕章の男は、どうしていいかわからず、戸惑いながら「・・・ありがとう、ありがとう、みなさん!この方に拍手をお願いします!」と言う。
まわりからは拍手が起こり、俺は泣き真似を続け、「みなさんは、なんてすばらしいんだ!」と絶叫する・・・・。



俺は渡された用紙に、住所氏名を署名し、散々お礼を言われ、「あなたの善意を地方紙に載せますよ」と言われた。
俺は「いや、善意だなんて・・・、ただ、僕は、あなたがたに、認めてもらいたかっただけですよ」と、本音を言った。
まさしく本音だ。
腕章の男は「もちろん、あなたの善意は十分認めていますよ」と答えた。


『十分認めていますよ』と・・・。



夕暮れの日本海を眺める。
壊れかけたワゴンRのボンネットに腰掛ける。
最後のマイルドセブンに火をつけ、空箱をつぶす。
無性にビールが飲みたかったが、飲酒運転になるからやめた。
俺の残飯のようなモラルが、違法行為にブレーキをかける。


そして携帯が鳴る・・・非通知・・・ミーナ・・・。


「お疲れのようね」
「ああ、日本武道館ライブを終えたような気分だよ」
「ペットショップボーイズみたいね」
「いや、ジミヘンと言ってほしいね」
「死んじゃってるでしょ?」
「魂は生き続ける」
「どこで?」
「下水道処理施設の中で・・・・」


ミーナは、以前の電話のように、まくし立てるようには話してこなかった。
少しではあるが、我々の関係は、やわらかいものになったのだろうか?



「ねえミーナ、あんたから電話があったって事は、合格って事?」
「そう、合格、しかも、相当優秀な成績でね」
「そりゃよかった、いつも平均点に満たない成績で、不合格を繰り返していた俺にとっては、なによりの言葉だね」
「点数は評価の方法の一つに過ぎないわ、世界にはいろいろな『ものさし』があるの、わかる?」
「わかるような気がする」
しかし実際はわからなかった・・・。



カーラジオから、ニールヤングの「ハーヴェストムーン」が流れる。
俺は空腹に気づく。
風呂にも入りたい。
髭も剃りたい。
そして冷えたビールを飲み、泥のように眠りたい。


俺は、まだ死にたくないようだ。



「ねえ、ミーナ、もし俺が合格なら、次の依頼をくれないか?実は、振り込まれたお金、寄付しちゃったんだ」
「善意ね」
「どうだか?」
「あなたの口座に30万振り込んであるわ。一回しか言わないからよく聞いて。期限は1週間、次の依頼は・・・・・・・・・・・・・・・・・・」



こうして俺は、ミーナからの電話を待ち、口座に振り込まれた金を下ろし、指示をこなし、
そして再び電話を待つようになった。
電話が鳴れば合格、鳴らなきゃ不合格、そしてさよなら。
基準は不透明。
思いっきり不自然。


「失うものが何もない」俺は、ミーナからの電話を待つ。


待つ・・・。



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Posted by PSPスタッフ at 12:16Comments(3)