QRコード
QRCODE
アクセスカウンタ
読者登録
メールアドレスを入力して登録する事で、このブログの新着エントリーをメールでお届けいたします。解除は→こちら
現在の読者数 4人
プロフィール
PSPスタッフ
PSPスタッフ
オーナーへメッセージ
Sponsored Links

スポンサーリンク

この広告は一定期間(1ヶ月以上)更新のないブログに表示されます。
ブログ記事の情報が古い場合がありますのでご注意下さい。
(ブログオーナーが新しい記事を投稿すると非表示になります。)
  
Posted by at

2013年09月25日

ドラマのTBS


半沢直樹、おもしろかった
一般論で申しわけないけど、おもしろかった。
ラストシーンで、頭取(北大路 欣也)から、出向(しゅっこう)命令が下り、『・・・お前も、黒だったのか?・・』的な、余韻を持たせ、次回作に対する含みや可能性を感じさせるあたり・・・・、やってくれるな~って思う。





俺、ドラマが始まる頃、新聞とか見ながら、目星をつけるのよ。
『・・・あ、これ、ちょっと、見てみようかな・・』と。
で、初回見て、つまんなきゃ次回から見ない
2~3回、見たけど、飽きる。『・・・まあ、いいや・・・・』って、思って。
そんな、ドラマばっかりなんですよね、最近。
最後まで、見ようとする気が起こらない。
だから、半沢は久々の個人的ヒット。
『・・・あ、今夜、半沢だ。早めに用事済ませとこ・・・』。
で、9時には、テレビに集中。
『・・・来週は、どうなるんだろ?…』『・・・正義は勝よな?…』
などと、考えをめぐらす。
銀行の上の奴らって、マジきたねえよな・・・・って、リアルに思い、現実とドラマのギャップが少なく感じる。
つまりは、自分達の身近にも、うす汚ねえ上役みたいな奴らが、いるって事でしょうね
いません?そおゆうチンカス野郎?


















ドラマのTBSという、言われ方がある
昔ですけど、フジテレビのトレンディードラマが大流行で、もちろん俺も大好きで、見てたわけですけど、かたやTBSのドラマって、ストーリー重視っていうか、骨太っていうか・・・・。
90年代、もっともドラマが輝いていた時代、TBSのドラマを思い浮かべると、2つ、はまったやつがある。
ひとつは、未成年

いしだ壱成、反町隆史。
香取真吾が、知的障害者『デク』を熱演。
主題歌はカーペンターズ。
いや~、書いてると、レンタルしたくなっちゃうね。
いろんな形で出会った5人が、最終的にヤバイ方向に行っちゃう・・・・って話。
まあ、簡単に書くとね。
未成年、もう一回、見ようかな・・・・・。
























これも、グッサっときました。
人間失格

キンキキッズ、赤井秀和。
いじめにあい、死んでしまった子供の復讐を、親がするという、なんともすごい内容だった。
テーマ曲は、サイモン&ガーファンクル。
これがいい。
ぴったり。
ドラマ終わって、しばらく、考えこんじゃいましたよ。
もし、わが身に起こったら、どうしようか?って。











まだまだ、いいドラマはたくさんあって、書ききれないんですが、今回の半沢直樹は、TBSに感謝したいです
で、また、こおゆう骨太の物語を作ってください。
時代や、流行に流されることなく・・・・。



次から、何見ようかな?って思いますよ。
それから、映画『風立ちぬ』、高山来いよ!














BYナリハラ


  
Posted by PSPスタッフ at 10:45Comments(0)

2013年09月21日

Cherry Boys1970 ~FINAL~







夏休みも終わりに近づき、秀治は、たまり場に姿を見せなくなった。
きっと、受験の準備でも始めたのだろう。


良夫は、たまり場で、エロ本を読んだり、ラジオを聴いたり、たまにハイライトをふかして、気だるく過ごしていた。
修は、相変わらず元気に英会話教室に通っている。
「ルミ先生、すっげーミニスカートはいてやがんの。起っちゃったよ俺」などと、良夫に報告する。
「良かったじゃねえか」と、良夫は返す。
修には、『明子のこと』や、ルミ先生との『SEX未遂』のことは、黙っている。
友達だけど、秘密だってある。
出会ったころは、秘密さえ共有していたのに、『これは、言わないほうがいいだろう・・』という、心の決断が生じる。
成長?
そう、成長かもしれない。
友達への隠し事は、薄汚い大人になるための、重要な第一歩かもしれない。


「最近、秀治来ないな。どうしたのかな?」
「あいつはあいつで、なにかと忙しいんだろ」
「ひょっとして、一人抜け駆けで、SEXフレンド作ってんじゃないだろうな?」
「・・・馬鹿馬鹿しい・・・、そんなことがあったら、すっ飛んできて、俺達に報告するだろ」
「良夫、お前は、どうなんだよ?夏休み中に、やれそうか?なんか、あてもないみたいだけどさ」
「修、お前こそどうなんだよ。ルミ先生のところ、続けるのか?」
「ああ、夏休み中は行くよ」
「大した根性だぜ」






ラジオから、アニマルズ『朝日のあたる家』が流れていた・・・・・。







「街に出るか?」
「そうだな」
良夫と修は、行くあてもなく、街をぶらぶらした。
映画『ある愛の詩』を見て時間をつぶした。
純粋なラブストーリーを、男二人で見るには、いささか恥ずかしすぎた。
「愛っていいよね・・・」と、修は言う。
「気持ち悪いぞ、お前」と、良夫は返す。
夕日が沈み、暗闇が訪れようとしている。
二人は黙って歩いた。
「あ、秀治がよく行く図書館」と、修。
「行ってみようぜ、秀治いるかもしれねえし」と、良夫。
「あれ、秀治じゃん。ほら、建物の隣側・・」と、修。
「ほんとだ。いるじゃんかよ」と、良夫。
二人は、小走りして、ストップする。
「・・・マジかよ・・・」と、修。
「・・・・・・・」良夫は言葉が出てこない。
建物の影で、秀治は女の子を抱き寄せ、熱くキスしている。
女の子も、秀治の背中に両手をまわしている。
二人は、深く愛し合っている・・・・そして、その女の子は、明子・・・。


「・・・わっ、ヤベー、秀治、すげ~!、おいどうする、声かけてみるか?良夫」
「・・・・・・・・・」
「おい、どうしたんだよ?良夫」
「・・・・・・・・・」
良夫は、後ろを向き、そのまま歩き出す。
「おい、良夫、どこ行くんだよ?」
修の言葉に、反応しない。
良夫は泣いているんだ。
その姿を、修に見られたくない。
「おい!、良夫!待てよ!」
良夫は全力で駆け出す。
必死で走って、交差点の赤信号で立ち止まる。
電柱にもたれて、呼吸を整える。
涙は、とめどなく流れる。
道路脇に、止まった車から 『アンチェインド・メロディ』が聞こえる。
この瞬間のために、存在している曲のようだ・・・・・・・・。
そして、崩れ落ちる・・・・・・・。








修からの電話に良夫は出なかった。
しかし、毎日毎日、修からの電話がかかる。
修は、ハイエナのようにシツコイのだ。
そして夏休みの最終日。
「もう、いいかげんに電話でなさい!良夫!」という、母親の癇癪(かんしゃく)に触れ、しかたなく受話器を受け取る・・・・もしもし・・・・。
「やっと出たな。俺から逃げられると思うなよ、良夫君」と、修は言った。
「なんだよ?」
「なんだよじゃねえだろ!聞いたよ、全部、秀治から」
「それで?」
「すねてんじゃねえよ、馬鹿!とにかく、たまり場で待ってるからな」
「行かねえよ」
「来なきゃ殺すぞ!」
「お前に負けるかよ」
「なあ、良夫、秀治も謝りたいって言ってんだぜ」
「何を、謝るって言うんだよ。別に謝ることなんてねえじゃねえかよ」
「とにかく来い。話はそれからだ。わかったな!じゃな」
電話が切れる。
良夫は、重い気持ちのまま、家を出る。











たまり場の前では、修が待っていた。
「来ると思ったぜ」
「ああ」
中に入ると、秀治が頭を下げる。
「すまない」
良夫は、言葉が見つからず、立ち尽くす。
「まあ、秀治の話も聞いてやれよ。秀治、話せよ」
「明子には、ちゃんと良夫とデートしてやれって言ったんだ・・・・けど、前から僕の事が好きだった・・・・って、告白されて・・・・それでも、お前に悪いから・・・断ったんだけど・・・抱きつかれて・・・その・・・すごく情熱的で・・・・なんて言うんだろ?・・・すごく綺麗で・・・髪の毛からリンスの匂いがして・・・どう言えばいいのかな?こおゆうの・・・・」
「惚れたってことだろ?」と、良夫は、秀治をフォローした。
「・・・・そうなんだ・・・こんな気持ちになったのは、初めてで、でも、お前に言えず・・・ごめん、良夫・・・・」
「なんで謝るんだ?」
「お前に、悪いと思って・・・」
「なあ、許してやれよ」と、修もフォローする。
「じゃ・・・・、この問題がわかったら、終わりにしようぜ。・・・・俺が好きだった女に、お前が協力者として近づき、最終的にお前らができちゃう・・・これを、ちまたじゃなんて言う?」
「ミイラ取りがミイラになる・・・・だろ?」
「クソ、正解だ。さすが、俺なんかが出す問題なんて、軽くクリアだな。」
「許してくれるかい?」
「終わりにしようぜ」
「本当に?許してくれるのか?」
「だから、終わりにしようって!許すも許さねえもねえだろ。俺が、みじめだろ。気が付けよ。そこんとこ」
「うん」
「だから、終わりだ。この話。二度と謝るなよ。わかるだろ?謝られると、すげーみじめな気持になるんだよ」
「わかったよ」
「最後にひとつ聞かせてくれ」
「何?」
「明子とやったか?」
「いや、やってないよ」
「やりたいか?」
「正直、火山が爆発しそうなくらい、やりたいよ」
「そうか、がんばれよな・・・・」
・・・・友情・・・・



「今度は、お前が俺に謝れ」と、修は口をはさんだ。
「何を?」
「聞いたぞ、ルミ先生とのSEX未遂」
「あっ・・・まあ、それは、それってことで・・・」
「なに、ごまかしてんだよ。いいんだよ。お前がルミ先生と、SEXできれば、友達としてうれしいよ。・・・よかったじゃねえか・・・って、祝福してあげたいよ。しかしさ、隠すなよ。何でも、話し合ってきたじゃねえか?違うか?だから、今さら、隠すなよ、わかったか?」
「・・・・悪かった、修・・・」
「それで?起たなかったんだってな?」
「・・・・まあ、そうだ・・・・」
「もったいない、あ~もったいない。馬鹿かお前は!体育会系が聞いてあきれるぜ。そんな、チャンスを前に起たないなんて。お前がプロレスラーになったらリングネームはインポ良夫だな。リングサイドで、インポ~って声援してやるぜ!」
「なんだと、このやろ、インポはねえだろ!」
「おっ、やるか?インポ良夫、それとも、ホ~モ良夫でもいいかもな」
「黙れ、この、坊主刈りチビ!」
二人は取っ組み合いを始める。
「まあ、やめろって!」と、秀治は止める。
いつものように・・・・・・・・・・・。










3人は川に向かって小石を投げ思い思いの言葉を叫んだ。
良夫 「明子とやりたかったぜ~!」
秀治 「明子と、したい!」
修 「誰でもいいから、やりたかった!」
ハイライトの煙が、『や・り・た・か・っ・た』と、一文字を作ったように見えた。
高校最後の夏休みが終わろうとしていた・・・・・・・・。








1971年春。
駅に3人はいる。
良夫は自衛隊に、秀治は東京の大学に、修は実家の八百屋を継ぐこととなった。
それぞれの 旅立ちってやつだ。






「楽しかった。元気でな」と、良夫。
「心理学を学んでくるよ」と、秀治。
「また、逢おうぜ」と、修。
良夫は、西へ向かう汽車に乗り、秀治は東へ向かう汽車に乗った。
その汽車を見送り、修は駅の改札をくぐって、町に戻た。









そうそう、1972年、学生デモ隊の中に秀治はいた。
仲間と火炎瓶を投げつけている。
火炎瓶を投げつけられた機動部隊の中に、良夫はいた。
混乱の中で、二人はお互いを発見した。
「おい!秀治!俺だよ!良夫!」
「やあ!久しぶり!」
そしてまた火炎瓶を投げつける。
学生運動と機動隊の小競り合いの中で、通常のコミュニケーションは成り立たないのだ・・・・。





3人はその後、会うことはほとんどなかった。
それぞれの環境で、それぞれの人間関係の中で、それぞれの恋に落ちた。
それは、『やりたい』だけの恋じゃない。
俗に言うところの、『大人の恋愛』ってやつだ。






~10代の頃に培った友情に勝る宝物はない~
と、誰かが言ったけど、3人がそれを本当に感じるのは、もっともっと後になってからだった。
とにかく、必死で生きなきゃ・・・・・。
それだけだ。



・・・・・END・・・・














BYナリハラ  
Posted by PSPスタッフ at 12:16Comments(2)

2013年09月20日

Cherry Boys1970 ~3~








トルコ風呂(現ソープランド)の前に、3人は立っている。
「よし、俺が交渉してくるよ」と、修は、呼び込みのお兄さんのもとで向かう。
「あの、いくらですか?」
「12000円だけど、お前、高校生だろ?」
「いえ、去年卒業しました」
「冗談言うなよ。見りゃわかるよ」
「高校生じゃありませんよ。立派な社会人1年生です」
「帰れ帰れ!邪魔なんだよ・・・」
あえなく撃沈・・・・・。









ストリップ劇場には、なんとか入ることができた。
禁断の扉を開けると、黒山の人だかり。
隣のオヤジの息が荒くなり、生唾を飲み込む音も聞こえる。
ギュウギュウ詰のストリップ劇場。
「おい、もっと、前、行こうぜ」と良夫が小声でささやく。
「無理だよ。これじゃ、満員電車だよ」と、秀治が小声で返す。
「順番に行こうよ。まずは、俺、行ってくるよ」と、修が人の波をかきわけ、ステージ前にたどり着く。
『わ~すげ~、本物のオマンコ、だ…』
場内アナウンスが流れる。
「それでは、お待ちかね、本番ショーです。我こそはと思うお方は、ステージにお上がりくだい」
『チャンスだ』そう、思った修は、迷わずステージに上がる。
他にも、10人くらいステージに上がる。
そして、ジャンケンを始める。
『じゃんけんぽい』
修も順当に勝ち進み、初老の男とのジャンケン対決を残すのみとなった。
『これに勝てば、やれる・・・・』
と、その時、
「ん?お前、うちの学生じゃないか?」と、初老の男は、修の顔をまじまじと見ながら言った。
「やばい!先こうだ!逃げろ!」
「なんで、先生がストリップ見に来るんだよ!」
「知るかよ、そんなこと!いいから、逃げろ!」
3人は、ストリップ劇場を飛び出し、夜の街を走り回った・・・・・。





と、そんな繰り返しで、18歳の蒼き性は、突破口を見いだせず、不発のまま湿っていった。
錆びついた、リボルバーのように・・・・。








「僕が行ってくるよ」と、秀治は言った。





業を煮やした秀治が、『僕が、英会話の先生と関係を持ってくるよ』と、宣言したのだ。
「有言実行だ!」
「よし、がんばってこい!インテリ!」と、良夫は励ます。
「いいか、時間は1時間だから、早めに例のキーワード言ったほうがいいぜ」と、修はアドバイスする。
「OK,フランスの産業革命みたいな気分だよ」
「?」
「?」
と言って、秀治はビルの中に消えて行った。
「頭良くても、やりてえんだな」と良夫。
「そりゃそうさ、人間だもん」と、修。







喫茶店で待つこと1時間、秀治が帰ってくる。
メガネのフレームをつまみ、若干うつむき加減で。
「で、どうだった?」
「うん・・・・やれなかった」
「なんだよ秀治!。まあ、一本吸えよ」そう言って、ハイライトを差し出す良夫。
「どうも」
秀治は、無表情のまま、ハイライトを吸い終える。
「どうだったか、話せよ、秀治」 と、修は急かす。
「ああ、なんて言うのかな?・・・チェリージュース・・・って言うキーワードすら、言える時間がなかったんだ」
「はあ?お前何しに行ったの?」
「つまり、こうなんだ。修が言うみたいに小川知子みたいな色っぽい先生だった。僕は、最初の自己紹介を、15分くらい全部英語で喋ったんだ。すると、先生、ずいぶん感心して、次々と難解な英文をぶつけてくる。僕も向きになって、全部答える。先生はさらに感心してこう言った。・・・完璧ね、でも、アールの発音がイギリス人的じゃないわ・・・・と。それで、僕はムキになって、発音に対する理論を話す。すると、先生が反論する。つまりは議論になってゆく・・・」
「議論してどうするんだよ、お前」
「それで、時間切れ。・・・最後に先生は、・・・秀治君、君は才能があるからしっかり勉強しなさい・・・って、言われた」
「お前、勉強しに行ってどうするんだよ」と、良夫と修は交互に非難した。
店内には、フォーククルセターズの『帰ってきた酔っぱらい』が流れていた。












久しぶりに、良夫が『たまり場』顔を出したのは、8月中旬だった。
良夫は、アルバイトを始めた関係で、あまり顔を出さなくなっていた。


たまり場では、秀治がコカコーラを飲みながら、『ベトナムの現状』という写真集を眺めている。
ラジオから、ドアーズが叫んでいる。
その叫びと交互するように、「久しぶり!良夫!」と、秀治は右手を上げた。
「あれ、修は?」と、良夫は尋ねる。
「英会話」と、秀治は答える。
「まだ、行ってんの?あいつ?」
「うん、『継続は力なり』って一文を紹介してやったら、・・・・やれるまで、通ってみるよ・・・って、言ってたよ」
「まあ、根性は買うけどな」
「ほんとだね」



秀治は良夫にコーラのビンを手渡す。
良夫は一気に飲み干す。





「で、その後、明子にアタックしたのかい?」と、メガネフレームをつまみながら、秀治は尋ねる。
「いや、ずっとバイトだったし、どこでどう接触していいのか、わからんしな」と、良夫
「なあ、良夫、僕がキッカケつくってやるよ。彼女、図書館や本屋で何回か見たことあるし、挨拶くらいならしたことあるし、『図書館で一緒になるものですが・・・』って言えば、親が電話に出ても、怪しまれないだろうしさ」
「ほんとにいいのか?」
「いいさ!あたりまえじゃないか。君は、僕や修と違って、とりあえず好きな子がいる。誰かとSEXするなら、好きな子とするのが一番いい」
「そう、なんかの本に書いてあったのか?」
「いや、僕の独断的意見だよ」
「わかった、頼むぜ。デートのキッカケを作ってくれ」
「最善を尽くすよ、友達だろ」
「サンキュ」






その後は、サイモン&ガーファンクルやジャニスジョップリンがラジオから流れ、良夫と秀治は、クールな話もした。
70年代独特の、『思想』的、意見交換ってやつだ。
良夫「自衛隊をなぜ軍隊って呼ばないのか?俺は納得できない。彼らの仕事は、雪かきや物資輸送が本分じゃないはずだ。国のためだったら、俺はためらうことなくヒキガネが弾ける気がする・・・」
秀治「ベトナム戦争は、まぎれもなくアメリカの失敗だ。各国のトップも、そんなことはすでにわかっている。でも、なんらアクションを起こさない。僕は、アメリカのやり方を非難する、学生デモ隊を尊敬する。行動し主張してこそ民主主義は成り立つ・・・」
と、そんな、『思想』的、意見交換ってやつだ。






同世代の高校生は、海だ山だと、青春をエンジョイしているだろう。
しかし、二人は、薄汚れたたまり場で世界を語っている。
無情な現実、淡い夢・・・・・。
人生のほろ苦い1ページ・・・・・。
そんなところだろう。







最後に秀治はこう言った「明子の件、失敗したら、ゴメン」
「いいよ、そんなの」と、良夫は返した。
どこかで、蜩(ひぐらし)が鳴いた。








それから1週間後、秀治から「ダメだった」と良夫は聞かされた。
「ゴメン・・・ダメだったよ。明子、今は受験で頭がいっぱいで、それ以外の事は考えられないって・・・・」
「そうか・・・・、ありがと、動いてくれて・・・・、いいんだ、片思いだし、初めっから無理な恋愛ってやつだろうし・・・」
「明子は、良夫の事が、嫌ってわけじゃなくて・・・」
「いいんだ。終わろうぜ、その話」
「・・・うん・・・」




沈黙。




それから、二人は、例の英会話教室に向かった。
秀治の提案だ。
彼なりの、励ましの意味もあってのことだ。
英会話教室のルミ先生。
変な言い方だけど、秀治は心から、良夫にSEXしてほしかった。
『・・・あ~気持ち良かった!・・・』と、言ってほしかった。
友情なのかもしれない・・・・・。




「電話して、5時に良夫の名前で予約取ったから、行って来いよ。そして、童貞にさよならしてくればいい。気分も良くなるって」
「なんか・・・・気が乗らないけど・・・」
「大丈夫だよ。良夫は遠目で見ると、ポールニューマンみたいだし、きっと、成功するよ」
「・・・遠目で見ると、か?・・・」












良夫は英会話教室のドアを開ける。
「いらっしゃい、はじめまして、ルミです。よろしくね」
確かに、修が言うように、小川知子似の色っぽい大人の女だ。
「修君、秀治君、のお友達ね。じゃ、楽しく英会話をお勉強しましょうね。まず、自己紹介を、できる限り英語で話してみてくれるかな?」
当たり前の話だけど、良夫ははなっから英語のお勉強などする気は、さらさらない。
速攻あるのみ。
「ルミ先生、良夫です。初めまして。今日、先生に聞きたいのは、チェリージュースは好きか?嫌いか?それだけです」
ルミ先生は、一瞬目を見開いた。
そして、少しだけ微笑んだ。
天使の視線、悪魔の微笑み・・・。
「・・・・ふ~ん・・・・・チェリージュースね・・・・フフフ・・・・いいわ、いらっしゃい・・・」
ルミ先生は、隣の暗部屋に、良夫の手を引いた。



まとわりつく暑さ・・・・クーラーは効いているのだろうか?
ワキ汗、心臓の鼓動、ぎこちない動き、焦り、目が合わせられない・・・チェリーボーイ。



「君ならいいかもしれない・・・」
『君ならいいかもしれない』と、良夫は、心の中で反復する。
良夫はもちろん、緊張していた。
その、緊張を解き放つかのように、ルミ先生は、良夫の唇に自分の唇を合わせた。
ルミ先生は、良夫のボタンダウンシャツを脱がせ、ジーンズのジッパーを下ろす。
「いい体ね。こおゆう体好きよ」
良夫は息をのみ、目をつぶる。
先生は、トランクスを下ろし、むき出しになったペニスをフェラチオする。
「大きくしてあげるわ」
良夫は、先生の髪を掴み、初めて体験するフェラチオと必死で向き合った。
歯を食いしばり、呼吸を整え、それから・・・・・・・。
それから・・・・・・・・。













バスターミナルのベンチで、秀治は本を読んでいる。
うつむいたままの、良夫が現れる。
秀治は本を閉じ、「良夫、うまくいったか?童貞卒業おめでとう!気持ちよかったかい?
それとも、こんなもんだって感じかい?どうだった?」
「それが・・・・・」
「うん?」
「できなかったんだ」
「できないって?」
「ルミ先生にNOと言われたってことか?」
「いや、イエスの答えだったけど・・・」
「それじゃ、成功したんだろ?」
「起たなかったんだ・・・」
「えっ、どうして?」
「明子の顔がちらついて、起たなかったんだ・・・・」
「・・・・そう・・・・」
それから二人は、会話をしなくなった。









バスターミナルに、家路を急ぐ人達が溢れかえる。
みんな、無言で、足早に、ハンカチで汗をぬぐい、新聞を日除けに使い・・・。
「じゃな」と、良夫は言った。
「うん、また」と、秀治は返した。




二人は別々の方向に歩き出す・・・・・。











BYナリハラ  
Posted by PSPスタッフ at 11:20Comments(2)

2013年09月19日

Cherry Boys1970 ~2~






いつものたまり場に、FENが流れる。
米兵向けラジオ電波に乗って、舶来(はくらい)ミュージックが届く。
ローリングストーンズの新譜『MISS YOU』だ。
そのコーラス部分を、良夫、秀治、修の3人でハモる。
無論、音痴である。
ハーモニーのかけらもない。
しかし・・・・・・これだけは言える。
『いつの時代も、ロックンロールは、ティーンエイジャーのバイブルだ』と。
くだらねえ先コウの、マスターベーション的説教なんかより、ジャンピンジャックフラッシュのほうが、若きアンテナを刺激する。
あたりまえだ。
『このまま、仲間達とふざけあって、笑いながら人生を送りたい!』と、誰もが思う。
しかし・・・残念ながら、決められたゴールはちゃんとあって、いやでも飛び立たなくてはならない。
弱い翼のまま、もしくは、飛び立つ翼さえないまま・・・。
そのあとの、飛び方なんて、生徒指導の先生方は知ったこっちゃない。
死のうと、生きようと、成功しようと、失敗しようと、パクられようと、前科がつこうと、ね。
『じゃあな、勝手に生きろよ。あとは、知らねえ』『お前らの後輩も、いびり倒してやるからよ』『お前らは、缶詰め工場の缶詰めと、同じなんだよ』と、そんな感じだ。
OKOK、勝手に生きるさ。
先生方も気をつけたほうがいいぜ。
特に、後ろに気をつけなよ。
ナイフは簡単に手に入るからさ・・・・。
滑走路も残り少なくなってきた。
飛び立つ瞬間が近づいてくる。
飛んでやるさ!・・・・・俺なりにな・・・・・・。
お前らの肥溜めみたいな、社会的理論ってやつを、踏み台にしてな・・・・。
WE CAN FLY!










「ほんとかよ?それ?隣町にあるバスターミナル?その前のビルの3階?英会話教室のルミっていう先生?それで、キーワードが、・・・・チェリージュースは好きですか?・・・だって?信じられっかよ、そんなの・・・」と、良夫は言った。
「いや、そのやくざの兄ちゃんの目は本物だったぜ。絶対、あの目は嘘なんかついてないよ、。俺は、なんだか信じられるんだよ、その話」と、修は言った。
「本当か嘘かは別にしても、確かめる必要は大いにあるんじゃないか?コロンブスだって、ナポレオンだって、行動して何かを得てきたわけだし・・・」と、秀治はナイーブに眼鏡のフレームを持ち上げる。
修:「コロンブ?かナポレ?そんな、むずかしいスパゲティー、わかんないけどさ、とにかくその英会話の女教師はやらせてくれるらしいぜ。なあ、行こうよ、その英会話教室」
良夫:「嘘だってそんなの!アホか、修」
修:「なんだと、この肉体馬鹿!いつも非難しやがって、やるか、おい!?」
良夫:「おもしれえじゃねえか、かかってこいよ!この坊主刈り頭が!・・・」
修:「ばっかやろ!もう許せねえ!・・・」
秀治:「おいおい、やめろって!どうして、君らは喧嘩するんだよ!武力じゃ何も解決できないってことは、第2次大戦で証明されてるだろ?」
修:「・・・第2次大戦って?・・・」
良夫:「・・・ば~か、サンダーバードの映画のタイトルだろ?・・・常識だろ、そのくらい・・」
修:「・・・・まだ見てないんだよ・・・・・」
秀治:「・・・・・(汗)まあ、そおゆうことだけど・・・・・」












3人は、英会話教室のビルの前に立っている。
「じゃ、行ってくるよ」と、修は二人に手を振った。
「がんばれよな」
「健闘を祈るよ」
残された、良夫と秀治は近くの喫茶店で、暇をつぶすことにした。
壁が煉瓦で埋め尽くされた喫茶店だ。
店内に、ザタイガースの『シーサイドバウンド』が流れている。
『♪シーサイドバウンド、ゴーバウンド~』と、ジュリーが歌っている。

二人は、レモンスカッシュを注文し、ハイライトに火を点け、思いっきり吸い込む。
「わあ・・・クラクラする・・・」
「うん、少しずつ吸ったほうがいいよ・・・」
店内BGMが、ワイルドワンズの『思い出の渚』に変わる。


「修、うまくやれるかな?」と、秀治は言った。
「さあな、たぶん、ダメじゃねえの?」と、良夫は答えた。
レモンスカッシュが出てくる。
ストローで飲んだら、1970年の夏味がした。
「良夫はどう?SEXするあてはあるの?」
「いや、特にはないよ・・・・ただ・・・・・」
「うん」
「ただ・・・・・」
「何?」
「好きな子がいる」
「誰?」
「言うなよ」
「うん」
「明子・・・・」
「え、ほんと?だって、あの子は、なんていうんだろ?全然不良じゃないし、ようするに、まじめだし頭もいいし、言っちゃ悪いけど、良夫とは住む世界が違うって言うか・・・」
「わかってるさ、俺だって」
「ねえ、告白してみればどう?ダメもとでさ」
「おいおい、軽く言うじゃねえかよ」
「人間の本能として、性欲と愛情が一致したとき、異常なまでのエクスタシーを覚えるらしいんだ」
「なんだよそれ?わかりやすく言えよ」
「つまりはさ、好きな人とやるのが一番いいってこと」
「ああ、そおいうこと・・・・秀治、でも、無理だよ。あの子が俺なんかと付きあうはずがない」
「いいかい、良夫。可能性の扉を自ら閉ざしていては、勝利する可能性はセロなんだよ。アポロ計画の成功確率って、出発前何パーセントだったか知ってる?」
「知るわけねえじゃん、そんなもん」
「30パーセントだよ。つまり、飛行士は7割死ぬ覚悟で、アポロで月まで行ったんだよ。
わかるかい?成せば成るだよ。明子を落としてみろよ、俺も協力するからさ・・・」
「・・・・わかったよ・・・・」
「よかった」
「ありがと、秀治」
「・・・なんだよ真顔で・・・照れるな・・・・友達だろ・・・・」
BGMは、テンプターズの『エメラルドの伝説』に変わっていた。
二人は、レモンスカッシュに入っていたレモンに砂糖をかけて口に含んだ。
「・・・酸っぱい!・・・」
「・・・効くね、これ・・・」














喫茶店の扉を勢いよく開け、修が駆け込んできた。
坊主頭から、汗が流れている。
『VAN』とプリントされたTシャツも、汗で濡れている。
修は二人のテーブルに腰掛け、小さな体で、貧乏ゆすりを始める。
二人は、修の話を待つ。
「とりあえず、オレンジジュース!ダブルで!良夫、タバコ持ってる?一本吸わせてくれよ!・・・あ~うめ~、緊張した後のタバコはうめ~・・・」
「おい、で、どうだったんだよ?」と、良夫。
「交尾は成立したかい?」と、秀治。
「うん、できなかった・・」
「なんだよ!」
「だろうね、話がうますぎると思ったよ」
「でもさ、本当だったよ。英会話の先生、すげ~色っぽくてさ、カルピスみたいなワンピース着て、小川知子みたいだった」
「それで?」
「うん、自己紹介してから速攻で行こうと思って、聞いたんだ。・・・先生、チェリージュースはすきですか?って」
「で、先生はどうした?」
「いきなり笑い出しちゃって、・・・おもしろいわね、修君・・・・だってさ。その後も、笑いっぱなし、英会話レッスンところじゃないって感じでさ・・・」
「お前が聞いた路地裏のお兄さんの情報は、きっと、デマか噂だよ。残念ながらね」
「ところが違うんだよ。帰り際に、・・・・修君、お友達いる?先生、お友達だったら、チェリーをジューサーで液体にして飲んじゃうかもね?・・・・ゥフフフ・・・だってさ」
良夫と秀治は顔を見合わせる。
「まじかよ!」












喫茶店を出た3人は、デパートの遊技場(現在のゲームコーナー)にあるピンボールを打った。
あまりに、ピンボール台を揺らしたので、管理人にどやされる。
「お前ら!台が壊れるだろうが!」
今度は、屋上遊園地のメリーゴーランドに乗る。
メリーゴーランドに揺られながら、夏空を見上げる。
「クソ夏って感じだな」と、良夫は言った。
「南半球では真冬だっていうのにね」と、秀治は言った。
「やりたかったな~」と、修はつぶやいた。













Byナリハラ  
Posted by PSPスタッフ at 11:22Comments(2)

2013年09月18日

Cherry Boys1970






~10代の頃に培った友情に勝る宝物はない~
            BY・・・誰だっけ?・・・




1970年 夏





「18歳にもなって童貞はねえだろ?」と体育会系の良夫(よしお)は言った。
「そうだね、賛成だ。大阪万博が開催される、この近代国家日本において、18歳の健康男子が童貞ってのは、どう考えても、理屈に合わない・・・」そう言って、秀治(しゅうじ)は、インテリ風の眼鏡のフレームを触った。
「そんな、むずかしいこと言われてもわかんないけどさ、とにかく、やりたいよね、あ~やりたい、やりたい!」と言って、修(おさむ)は、坊主頭をかいた。
良夫「修、露骨に言うんじゃねーよ」
修「だって、やりたいはやりたいだろ?」
良夫「やりたいじゃなくて、もっと言い方ってのがあるだろうが・・・」
修「なんだよ?ほかの言い方って」
良夫「ん?例えば・・・・恋をしたい・・・とか・・・」
修「良夫、お前、ばっかじゃねーの?恋だってさ、ハハハ!」
良夫「なんだと、テメー、笑ったな、このやろ!」
修「お、やるのか?おもしれえじゃん、かかってこいよ、体育会系馬鹿!」
良夫「なんだと、このチビ坊主頭!」
秀治「まあまあ、やめろって!君達は、すぐ、そうやって喧嘩する。無駄な消耗は人間社会の負の文化である・・・と、ニーチェも言っている」
修「ニーチェって?」
良夫「バーカ・・・ニーチェって言えば、プロレスラーだろうが」
修「あっそうか、そうだったそうだった・・・」
秀治「・・・?、まあ、ニーチェはさておき、我々の目標は一致している。童貞にサヨナラしたいという一点においてね」
良夫「そうだ、SEXを知らずして、高校を卒業できない!」
修「うん、やりたい!」










扇風機1台のたまり場に、熱気が漂う。
体育会系の肉体を持つ、良夫。
インテリジェンスな、秀治。
チビで坊主頭の、修。
彼らは、高校1年からの友達だ。
個性はまったくちがうけれど、3人はつるんだ。
3人はこのチームにいることの、居心地の良さを体感した。
ダチ、だ。
3人は、ただ、ダラダラと過ごしてきたわけじゃない。
今までに、くだらない提案をいくつも掲げてきた。
例えば・・・・・。
「イカダを作って無人島に行き、そこで新しい国家を作ろう!」とか、
「隣町の病院跡の廃墟に、爆弾を仕掛けて爆破しよう」とか
「マムシの毒を採取して、やくざに売り込もう」とか・・・・。
ほんと、クソくだらない目標を立て、何も達成できなかった、3人の男子高校生達。
イカダは確かに作り上げたけど、すぐに沈没した。
爆弾は実験段階で、暴発した。
マムシに至っては、誰もが、蛇が苦手だった。
とまあ、くだらないエンディングで幕を下ろした。
そして、今回、「この夏にSEXを経験しよう」という、テーマが持ち上がったわけだ。
3人は、意気揚々し、「絶対、やろうぜ!」と、三ツ矢サイダーで乾杯した。
そして、覚えたてのハイライト(タバコ)を吸った。
「絶対、やろうぜ!」
「もちろんさ!」
「もう、子供じゃないからね!」
ハイライトの煙は青く、たまり場に充満し、窓の外では、セミが鳴いている。
彼らの夏が、始まろうとしている・・・・・・。







「俺、卒業したら、自衛隊に入隊するよ。別に、国を守ろうとか、そんな正義感なんか、これっぽっちもないよ。けど、自衛隊に入れば、3食くえるし、1日中体育やってるみたいなもんだろ?俺の情分にはあってるしな・・・」と、良夫は言った。
「僕は、大学の受験をしてみるよ。勉強するのがあってるんだ。それから、学生運動には興味があるし・・・ところで、修、お前はどうするんだ?」と、秀治は言った。
「俺?う~ん、そんな先の事なんか考えてないよ。何も見つからなかったら、家の八百屋で働くよ」と、修は言い、さらに「まあ、いいじゃん、そんな卒業後のことなんてさ。今やりたいことをやろうよ。なあ、良夫、秀治。とにかくさ、女とやろうぜ!むずかしい話は、それからってことでさ、な、良夫、秀治!」
「よし、やろうぜ!」と、良夫。
「女体の神秘は、海よりも深し・・・って、マルクスも書いている!」と、秀治。






こうして、この日のミーティングは終わった。
次、集まる時までに、どうすれば「やれるか?」、みんな、具体策を持ってくるのが宿題となった。










良夫は帰り道、河原に腰かけ、ぼんやりと考えていた。
『明子』の事をだ。
高校1年から、ずっと片思いの彼女の事を考えていた。
「明子は処女だろうか?」
純情可憐な彼女の事だ。
間違ってもSEX経験はないだろう。
「明子に告白してみようか?」とも考えた。
しかし、勇気がない。
フラれた時のことを思うと、危険な賭けを実行するだけの勇気ってのが湧いてこないのだ。
時は、1970年。
女の子に告白するなんてことは、アポロが月に行くくらい、センセーショナルな出来事なのだから・・・・。
寝っころがり、ハイライトに火をつける。
ブルーの煙が、明子の顔に見えてくる。
「・・・・やめよ、やめよ。明子の件は、忘れよう。どうせ、うまくいきっこないんだから・・・・」
良夫は、ジーンズの砂を払い、家路に向かった。











秀治は、図書館にいる。
『生態系の進化の歴史』『哺乳類の交尾と繁栄』『避妊具の正しい装着法』などの本を眺めていた。
「・・・・う~ん、なるほど・・・・」と、彼は理解した。
『SEXとは、哺乳類に与えられた子孫繁栄方法であり、我々人類が未来に向けて、続いていくためにも、大切な行為である…』
「・・・う~ん、なるほど、なるほど・・・・」
彼は、本を閉じ、彼なりのSEXシーンを連想した。
「・・・お互いが服を脱ぎ、お互いが興奮する。女性は濡れるだろうし、自分は勃起する。愛撫を繰り返す中で、固くなったペニスを濡れたヴァギナに挿入すれば、第一段階クリアってわけだ・・・、う~ん、なるほどなるほど・・・」
『・・・ゥフフフフ・・・』
隣から、女子高生達の笑い声が聞こえる。
秀治は、メガネのフレームを上下し、咳払いを一つし、席を立った。
女子高生の薄ら笑いは、まだ続いている・・・・・。
秀治は恥ずかしくて死にそうになる。












修は、路地裏で、やばそうなお兄さんに話しかけている。
「それで、僕、女とやりたいんです。てっとり早くやれる女っていませんか?」
「お前、高校生だろ?」
「はい」
「やめとけ、やめとけ、俺の客は、お金がある立派な紳士の方ばかりだ。それに、高校生と商売する気なんてねえよ。とっとと消えな、坊主」
「あの・・・、1200円なら、持っていますけど・・・」
「アホか!お前」
「じゃ、いくらなら?」
「あのなあ、坊主、お金がいくらあったって、おまえらガキに女を紹介するなんて、できねーよ。警察の目も怖いしな。ガキは家で、おとなしくオナニーしてろ」
「・・・そうですか・・・」
しばし沈黙・・・。
うつむく修に、やばそうなお兄さんは、しかたなく情報を提供する。
「そんなに、やりてえのか?」
「はい、やりたいです!」
「じゃあな、よく聞け。隣町のバスターミナル前のビル3階に、個人でやっている個人英会話教室がある。そこのルミって先生は35才で独身だ。まずは入会して、レッスンの時こう聞くんだ。・・・先生、チェリージュースは好きですか?・・・と。イエスもしくはノーと、ルミって先生は答える。イエスならば、隣の別部屋にお前を連れて行って、そのままやっちまうと思う。もし、ノーだったら、あきらめて、英会話を勉強しろ」
「ほんとですか?それ?」
「ああ、巷(ちまた)じゃ有名な話だ。けっこうな、頻度でお世話になっている若者がいるってよ」
「貴重な情報、ありがとうございます!」
「坊主、やりてえか?」
「はい!やりたいです!」
「まあ、それが、青春ってもんだ。俺も昔はそうだったからな・・・・」
そう言って、やばそうなお兄さんは、通りすがりの紳士を捕まえては「安くしときますよ、いい女ですし・・・」と、キャッチを始めた。
修は、深々と頭を下げ、スキップして家に帰った・・・・・。









三者三様の青春がそこには存在した。
それは、確かな事だ。














BYナリハラ  
Posted by PSPスタッフ at 11:40Comments(2)