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2013年09月20日

Cherry Boys1970 ~3~

Cherry Boys1970 ~3~






トルコ風呂(現ソープランド)の前に、3人は立っている。
「よし、俺が交渉してくるよ」と、修は、呼び込みのお兄さんのもとで向かう。
「あの、いくらですか?」
「12000円だけど、お前、高校生だろ?」
「いえ、去年卒業しました」
「冗談言うなよ。見りゃわかるよ」
「高校生じゃありませんよ。立派な社会人1年生です」
「帰れ帰れ!邪魔なんだよ・・・」
あえなく撃沈・・・・・。









ストリップ劇場には、なんとか入ることができた。
禁断の扉を開けると、黒山の人だかり。
隣のオヤジの息が荒くなり、生唾を飲み込む音も聞こえる。
ギュウギュウ詰のストリップ劇場。
「おい、もっと、前、行こうぜ」と良夫が小声でささやく。
「無理だよ。これじゃ、満員電車だよ」と、秀治が小声で返す。
「順番に行こうよ。まずは、俺、行ってくるよ」と、修が人の波をかきわけ、ステージ前にたどり着く。
『わ~すげ~、本物のオマンコ、だ…』
場内アナウンスが流れる。
「それでは、お待ちかね、本番ショーです。我こそはと思うお方は、ステージにお上がりくだい」
『チャンスだ』そう、思った修は、迷わずステージに上がる。
他にも、10人くらいステージに上がる。
そして、ジャンケンを始める。
『じゃんけんぽい』
修も順当に勝ち進み、初老の男とのジャンケン対決を残すのみとなった。
『これに勝てば、やれる・・・・』
と、その時、
「ん?お前、うちの学生じゃないか?」と、初老の男は、修の顔をまじまじと見ながら言った。
「やばい!先こうだ!逃げろ!」
「なんで、先生がストリップ見に来るんだよ!」
「知るかよ、そんなこと!いいから、逃げろ!」
3人は、ストリップ劇場を飛び出し、夜の街を走り回った・・・・・。





と、そんな繰り返しで、18歳の蒼き性は、突破口を見いだせず、不発のまま湿っていった。
錆びついた、リボルバーのように・・・・。








「僕が行ってくるよ」と、秀治は言った。





業を煮やした秀治が、『僕が、英会話の先生と関係を持ってくるよ』と、宣言したのだ。
「有言実行だ!」
「よし、がんばってこい!インテリ!」と、良夫は励ます。
「いいか、時間は1時間だから、早めに例のキーワード言ったほうがいいぜ」と、修はアドバイスする。
「OK,フランスの産業革命みたいな気分だよ」
「?」
「?」
と言って、秀治はビルの中に消えて行った。
「頭良くても、やりてえんだな」と良夫。
「そりゃそうさ、人間だもん」と、修。







喫茶店で待つこと1時間、秀治が帰ってくる。
メガネのフレームをつまみ、若干うつむき加減で。
「で、どうだった?」
「うん・・・・やれなかった」
「なんだよ秀治!。まあ、一本吸えよ」そう言って、ハイライトを差し出す良夫。
「どうも」
秀治は、無表情のまま、ハイライトを吸い終える。
「どうだったか、話せよ、秀治」 と、修は急かす。
「ああ、なんて言うのかな?・・・チェリージュース・・・って言うキーワードすら、言える時間がなかったんだ」
「はあ?お前何しに行ったの?」
「つまり、こうなんだ。修が言うみたいに小川知子みたいな色っぽい先生だった。僕は、最初の自己紹介を、15分くらい全部英語で喋ったんだ。すると、先生、ずいぶん感心して、次々と難解な英文をぶつけてくる。僕も向きになって、全部答える。先生はさらに感心してこう言った。・・・完璧ね、でも、アールの発音がイギリス人的じゃないわ・・・・と。それで、僕はムキになって、発音に対する理論を話す。すると、先生が反論する。つまりは議論になってゆく・・・」
「議論してどうするんだよ、お前」
「それで、時間切れ。・・・最後に先生は、・・・秀治君、君は才能があるからしっかり勉強しなさい・・・って、言われた」
「お前、勉強しに行ってどうするんだよ」と、良夫と修は交互に非難した。
店内には、フォーククルセターズの『帰ってきた酔っぱらい』が流れていた。












久しぶりに、良夫が『たまり場』顔を出したのは、8月中旬だった。
良夫は、アルバイトを始めた関係で、あまり顔を出さなくなっていた。


たまり場では、秀治がコカコーラを飲みながら、『ベトナムの現状』という写真集を眺めている。
ラジオから、ドアーズが叫んでいる。
その叫びと交互するように、「久しぶり!良夫!」と、秀治は右手を上げた。
「あれ、修は?」と、良夫は尋ねる。
「英会話」と、秀治は答える。
「まだ、行ってんの?あいつ?」
「うん、『継続は力なり』って一文を紹介してやったら、・・・・やれるまで、通ってみるよ・・・って、言ってたよ」
「まあ、根性は買うけどな」
「ほんとだね」



秀治は良夫にコーラのビンを手渡す。
良夫は一気に飲み干す。





「で、その後、明子にアタックしたのかい?」と、メガネフレームをつまみながら、秀治は尋ねる。
「いや、ずっとバイトだったし、どこでどう接触していいのか、わからんしな」と、良夫
「なあ、良夫、僕がキッカケつくってやるよ。彼女、図書館や本屋で何回か見たことあるし、挨拶くらいならしたことあるし、『図書館で一緒になるものですが・・・』って言えば、親が電話に出ても、怪しまれないだろうしさ」
「ほんとにいいのか?」
「いいさ!あたりまえじゃないか。君は、僕や修と違って、とりあえず好きな子がいる。誰かとSEXするなら、好きな子とするのが一番いい」
「そう、なんかの本に書いてあったのか?」
「いや、僕の独断的意見だよ」
「わかった、頼むぜ。デートのキッカケを作ってくれ」
「最善を尽くすよ、友達だろ」
「サンキュ」






その後は、サイモン&ガーファンクルやジャニスジョップリンがラジオから流れ、良夫と秀治は、クールな話もした。
70年代独特の、『思想』的、意見交換ってやつだ。
良夫「自衛隊をなぜ軍隊って呼ばないのか?俺は納得できない。彼らの仕事は、雪かきや物資輸送が本分じゃないはずだ。国のためだったら、俺はためらうことなくヒキガネが弾ける気がする・・・」
秀治「ベトナム戦争は、まぎれもなくアメリカの失敗だ。各国のトップも、そんなことはすでにわかっている。でも、なんらアクションを起こさない。僕は、アメリカのやり方を非難する、学生デモ隊を尊敬する。行動し主張してこそ民主主義は成り立つ・・・」
と、そんな、『思想』的、意見交換ってやつだ。






同世代の高校生は、海だ山だと、青春をエンジョイしているだろう。
しかし、二人は、薄汚れたたまり場で世界を語っている。
無情な現実、淡い夢・・・・・。
人生のほろ苦い1ページ・・・・・。
そんなところだろう。







最後に秀治はこう言った「明子の件、失敗したら、ゴメン」
「いいよ、そんなの」と、良夫は返した。
どこかで、蜩(ひぐらし)が鳴いた。








それから1週間後、秀治から「ダメだった」と良夫は聞かされた。
「ゴメン・・・ダメだったよ。明子、今は受験で頭がいっぱいで、それ以外の事は考えられないって・・・・」
「そうか・・・・、ありがと、動いてくれて・・・・、いいんだ、片思いだし、初めっから無理な恋愛ってやつだろうし・・・」
「明子は、良夫の事が、嫌ってわけじゃなくて・・・」
「いいんだ。終わろうぜ、その話」
「・・・うん・・・」




沈黙。




それから、二人は、例の英会話教室に向かった。
秀治の提案だ。
彼なりの、励ましの意味もあってのことだ。
英会話教室のルミ先生。
変な言い方だけど、秀治は心から、良夫にSEXしてほしかった。
『・・・あ~気持ち良かった!・・・』と、言ってほしかった。
友情なのかもしれない・・・・・。




「電話して、5時に良夫の名前で予約取ったから、行って来いよ。そして、童貞にさよならしてくればいい。気分も良くなるって」
「なんか・・・・気が乗らないけど・・・」
「大丈夫だよ。良夫は遠目で見ると、ポールニューマンみたいだし、きっと、成功するよ」
「・・・遠目で見ると、か?・・・」












良夫は英会話教室のドアを開ける。
「いらっしゃい、はじめまして、ルミです。よろしくね」
確かに、修が言うように、小川知子似の色っぽい大人の女だ。
「修君、秀治君、のお友達ね。じゃ、楽しく英会話をお勉強しましょうね。まず、自己紹介を、できる限り英語で話してみてくれるかな?」
当たり前の話だけど、良夫ははなっから英語のお勉強などする気は、さらさらない。
速攻あるのみ。
「ルミ先生、良夫です。初めまして。今日、先生に聞きたいのは、チェリージュースは好きか?嫌いか?それだけです」
ルミ先生は、一瞬目を見開いた。
そして、少しだけ微笑んだ。
天使の視線、悪魔の微笑み・・・。
「・・・・ふ~ん・・・・・チェリージュースね・・・・フフフ・・・・いいわ、いらっしゃい・・・」
ルミ先生は、隣の暗部屋に、良夫の手を引いた。



まとわりつく暑さ・・・・クーラーは効いているのだろうか?
ワキ汗、心臓の鼓動、ぎこちない動き、焦り、目が合わせられない・・・チェリーボーイ。



「君ならいいかもしれない・・・」
『君ならいいかもしれない』と、良夫は、心の中で反復する。
良夫はもちろん、緊張していた。
その、緊張を解き放つかのように、ルミ先生は、良夫の唇に自分の唇を合わせた。
ルミ先生は、良夫のボタンダウンシャツを脱がせ、ジーンズのジッパーを下ろす。
「いい体ね。こおゆう体好きよ」
良夫は息をのみ、目をつぶる。
先生は、トランクスを下ろし、むき出しになったペニスをフェラチオする。
「大きくしてあげるわ」
良夫は、先生の髪を掴み、初めて体験するフェラチオと必死で向き合った。
歯を食いしばり、呼吸を整え、それから・・・・・・・。
それから・・・・・・・・。













バスターミナルのベンチで、秀治は本を読んでいる。
うつむいたままの、良夫が現れる。
秀治は本を閉じ、「良夫、うまくいったか?童貞卒業おめでとう!気持ちよかったかい?
それとも、こんなもんだって感じかい?どうだった?」
「それが・・・・・」
「うん?」
「できなかったんだ」
「できないって?」
「ルミ先生にNOと言われたってことか?」
「いや、イエスの答えだったけど・・・」
「それじゃ、成功したんだろ?」
「起たなかったんだ・・・」
「えっ、どうして?」
「明子の顔がちらついて、起たなかったんだ・・・・」
「・・・・そう・・・・」
それから二人は、会話をしなくなった。









バスターミナルに、家路を急ぐ人達が溢れかえる。
みんな、無言で、足早に、ハンカチで汗をぬぐい、新聞を日除けに使い・・・。
「じゃな」と、良夫は言った。
「うん、また」と、秀治は返した。




二人は別々の方向に歩き出す・・・・・。






Cherry Boys1970 ~3~




BYナリハラ
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Posted by PSPスタッフ at 11:20│Comments(2)
この記事へのコメント
すごく 直接的な表現が多くて すごいです
でも わかる気がします 面白いです
Posted by ルーキー at 2013年09月20日 14:02
ルーキーさま
ありがとうぞざいます。今、終わりました。ラーメン食ってきます。あ~、疲れた疲れた・・・。
Posted by PSPスタッフPSPスタッフ at 2013年09月21日 12:17
 
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