PROJECT of PASSPORT

  

BOYS＆GIRLS・・・この２種類しかいない。
基本的には、この２種類だ。
例外もある。
BOYS＆BOYSであったり、GIRL＆GIRLであったり・・・。
それだと、話が複雑になるんで、はしょる。




基本的には、BOYS＆GIRLS、この図式を中心に世界はまわる。





BOYSはGIRLSを口説く。
「ねえ、こんど二人で会わない？」
「一目ぼれしました、付き合ってください！」
「夜、電話してもいいかな？」
口説くのを、省いて、いきなりKISSするってのもいいね。
交差点の信号待ちで、トイレですれ違う瞬間に、車のエンジンをかける瞬間に・・・。
KISS！
緊張がはしる、喉が渇く、うまく言葉が出ない、あせる、しかしなんとかしなくちゃね、BOYS。



GIRLSだって、いろんな事が脳裏を駆け巡る・・・はずだ。
「これ以上、求められたら、どうしよう？」
「舌はからませるべきか？否か？」
「口臭は大丈夫か？」
「今夜は、勝負下着だったっけ？」
などなど・・・。



なにはともあれ、この瞬間から、友達ではなくなる。
恋人、カップル、彼氏彼女。
そんな関係に、もしくは、そんな関係の予備軍に昇格する。




BOYS＆GIRLSは、打ち解けるために、いろんな話をする。
好きな映画、好きな音楽、味覚の好み、仕事上の悩み、嫌な先輩の話・・・・。
こんど買おうと思っている車の話・・・「買ったら、乗っけてやるよ・・」とBOYS.
「・・・うん・・・」と、GIRLS.



二人は幸せだ。
幸せな時間は、ゆっくりと流れる。
夏の雲のように、ゆっくりと、ゆっくりと・・・。


BOYSがローンで買った車で海へ・・・定番は海でしょ？
GILRSは、早起きしてサンドウイッチを。
天気は曇っているが、そんなのあまり関係ない。
雨なら雨でいいし、晴れなら、なおさらいい。



二人でいることが、幸せなんだから。



やがて、最初の夜。
BOYS＆GIRLSは、それほど手馴れてはいなかったけど、なんとか成立。
でも、BOYSは思ったんじゃないかな？
Hな気持ちと寄り添う、厳粛（げんしゅく）な気持ちを・・・。
この、厳粛な気持ちはいったいなんなんだろう？と。
二人は、ピュアな気持ちのまま、交わった。
彼は彼女を、彼女は彼を求めた。
一つになりたかった。
彼は、彼女に入りたかったし、彼女も彼に入ってきて欲しかった。
一つになってからも、お互いの背中を傷ができるくらいにかきむしった。
彼女が、イク瞬間、涙が頬をつたった。
彼も、目頭が熱くなるのを感じながら、射精した。



THIS IS SEX　！


そんなすばらしい、SEXは、そうそうできるものではない！


二人は、お互いに感謝した。
心から・・・、うわべではなく、心から・・・「ありがとう・・」と。




BOYS＆GIRLSは、毛布にくるまって、いろんな話をした。
暗がりの中、無音の状態で。
彼の腕枕に、顔をうずめながら・・・。
彼女の、首元に、唇をつけながら・・・。
「・・・お父さんは銀行員で、お母さんはスーパーでパート、お兄ちゃんは大阪・・・」と、彼女。
「・・・オヤジは昔、事業に失敗して、まだ借金が残ってるんだ。お袋は、１０年前に死んじゃったし・・」と、彼。
「・・・お兄ちゃん、芸人目指して、吉本にいるの、まだ、かばん持ちだけど・・」と彼女。
「・・・ほんと？なんか、会ってみたいな、いい？・・」と、彼。
「・・・うん・・・」彼女。
KISS・・・。


BOYS＆GIRLSは、お互いの家族のことを、話し出す。
BOYS＆GIRLSは、次のステップに進もうとしている。
二人の行くてには、様々な事が待っているはずだ。
いい事も、悲惨なことも。
でも、この夜だけは、この瞬間だけは、「嫌なことなんて、絶対起こるはずがない！」と、二人は思っているはずだ。


それを、世の中では、恋　と呼ぶ。


考えてみて欲しい。
世の中にある、恋の歌の多さを。
恋の映画の多さを。
恋の小説の多さを。


恋には危険が付きまとう。
ロッククライミングと同じだ。
「登りたい・・・でも、落ちるかもしれない」
多くの奴が落ちるだろう。
傷を負うだろう。
でも、傷が癒えたら、また登ればいい。


なぜならば・・・世の中には、BOYS＆GIRLSの２種類しかいないのだからね。


やがて、BOYS＆GIRLSは、ladyｓ＆gentleman、に進化していく。




BYナリハラ