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2010年05月13日

カーテンの向こう側

カーテンの向こう側

自分の部屋のベランダに出る。
その対面、50メートル前方に、15階建てマンションがある。
ずいぶんたくさんの部屋がある。
そして、様々なカーテンがかかっている。
どのカーテンもおだやかで、落ち着いた色合いだ。
白、ベージュ、チェック柄・・・・。
それらのカーテンの向こう側では、様々な生活が繰り広げられている。
プライベート空間だ。
ある男は、部屋の生理整頓もせずに、昼間っから飲んだくれているかもしれない。
ある女は、部屋の隅々まで、きれいにし、クラッシック音楽を流しながら、ヨガをしているかもしれない。
お母さんが子供をあやしていることだろう。
老夫婦は、仲良く、水戸黄門を見ているだろう。
法に触れなければ、自分の部屋で、何をしようとまったくの自由だ。
カーテンの向こう側では、様々なプライベート空間が存在する。






そして、気になる部屋が一つ。
その部屋のカーテンは、光沢のある赤だ。
しかも、そのカーテンが、開けられているシーンを見たことがない。
閉じられたままだ。
『空き部屋なのか?』とも、思ったが、『いや、違う』。
夜になると、明かりが灯され、人影が動く。
その光で、光沢のある赤いカーテンは、よりいっそう目立つ。
10階で東から3つめの部屋だ。
『レッドルーム』俺は、勝手にそう呼ぶ。






他の部屋では、カーテンは開けられることが多い。
天気のよい日だったり、日曜日だったりすると、カーテンを開き窓を開ける。
しかし、『レッドカーテン』が開くことは、俺が知る限りなかった。
俺だって、いつもいつも見ているわけじゃない。
『のぞき魔』では、決してない。
ただ、俺の住んでいる部屋のまん前には、大きなマンションがあり、注目せざるおえない、ということである。
一つの風景である。
けっして、いやらしい意味で、見ているわけじゃない。
名誉のために言っておく。






さて、1年が過ぎ、2年が過ぎ、3年が過ぎた。
俺の生活はあいかわらずだったが、まん前のマンションでは、様々な住民が入れ替わったようだ。
空き部屋になると、カーテンは取られ、がらんどうの室内が見える。
チェック柄のカーテンが、落ち着いたグレーに変わった部屋もある。
『きっと、部屋の住民が入れ替わったのだろう』と、思う。
しかし、『レッドカーテン』は、そのままだ。
あいかわらず、閉じられたままだ。






俺はしだいに、様々な想像をし始める。
夜、ビールを片手に、レッドカーテンを見つめ、その中のことを想像する。
その中の、住民を想像する。
『女性、独身、風俗店勤務?、店が終わりお客を部屋に入れいろんな性癖を駆使してプレイする・・・』
『カーテンは防音になっていて、相当の声や音を遮断する・・・』
『その部屋の中で、レゲエミュージックを流し、お香を焚き、スパイシーな香りの中で、『やって』いるのかもしれない・・・』
『そうだ、彼女はレゲエダンサーだ。きっと、へその下にはチェリータトゥーがあり、舌には金属が埋め込まれているかもしれない・・・』
『きっと、そうだ、そうにちがいない・・・』






そんな想像が1ヶ月は続いた・・・・。






やがて、どうしても、そのレゲエの彼女に会いたくなってくる。
会いたい・・・と言うには語弊がある。
顔が見たい。
うん、そう、顔が見たい。
それだけだ。





しかし、どうする?
レッドカーテンは閉じられたまま。





俺はいろいろと考えたが、ドアをノックすることにした。
正攻法にまさる作戦なんてない。
もし、レゲエの彼女が出てきたら、こう言えばいい。
『すいません、このマンションの大家さんはどこにお住まいですか?』と。
『このマンションに、住みたいのですが、連絡窓口がわからないもので・・・』と。
完璧だ。
よし、実行。






午後12時。
一番、怪しまれない時間帯だ。
なにせ、ランチタイムだから。
俺は、思い切って、インターホンを押した。
『ピンポーン・・』
応答なし。
『ピンポーン・・』
応答なし。
『ピンポーン、ピンポーン・・』
ドアが開く。
「なんや、うるさいのう」
坂東英二のようなおじさんが顔を出す。
「なんや?君?」と、坂東英二。
「・・・いえ・・・その・・・・」
俺は、レゲエ美人ダンサーと坂東英二のギャップに苦しみ、うまく声が出ない。
「なんか、用か?」
「・・・いえ、その、ここのマンションの、大屋さんはどこにいけば会えるかな?って思い・・・」
「大家なら、一階の管理人部屋や」
「・・・そうですか・・・あ、ありがとうございます・・・あの・・・」
「なんや?」
「・・・一人でお住まいなんですか?・・・」
「そうや」
「たしか、真っ赤なカーテンの部屋ですよね?この部屋・・・よく目立つから・・・」
「・・・?・・・君は何が言いたいんだ?」
「つまり・・・その・・・あなたと、不釣合いだなって、思ったりして、ハハハ・・・」
「おまえ、けったいな奴やな、俺が赤いカーテンじゃ悪いのか?」
「いや・・・そおいう意味じゃなくて・・・赤がお好きなんですね?・・・」
「そうや、大好きや、赤はトマトジュースの色やしな・・・」
『バタン』
ドアが閉まる。
俺は、途方に暮れる・・・。






カーテンの向こう側には、夢がある。
それは夢のままにしておいたほうがいい。
カーテンという、布のおかげで、坂東英二が、セクシー系レゲエダンサーにも思えるのだ。
夢は夢のままに・・・・。





俺はその夜、トマトジュースを飲み、ゆで卵に塩をふって食べた。




『さて、次のカーテンを探そう』




人生は前向きなほうが、楽しいとは思わないかい?



*もちろん、フィクションです。


BYナリハラ



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Posted by PSPスタッフ at 11:52│Comments(5)
この記事へのコメント
分かります。開かないカーテンは気になりますよね。
気になるといえば都会に行った時に見える高層ビルマンションなんかの窓が気になります。中で何してんだろう…みたいな。セレブリティーがワイワイやってるのかなとか、周りに高い建物ないから裸で東京タワー見ながらブランデー飲んでるんじゃないかな~とか。とにかくいろいろ考えてしまいます。

しかし今回のブログ、本当にフィクションですか?(^w^)
Posted by KEIKO at 2010年05月14日 11:54
KEIKOさま
どうもです。都会の高層ビルっていうと、シティーホテルですよね?なにかと、Hな想像がつきませんが・・・。高い階だと、優越感に浸れるかもしれませんね。ちなみに、上記のような、経験はしていませんよ。もし、気になる部屋があったならば、双眼鏡みたいな手段ではなく、記事のようにドアをノックすると思います・・・たぶん・・・。
Posted by narihara at 2010年05月15日 21:38
今日あんまり暑いんで、居間の窓を開けアイスクリームを食べていたら、道路沿いなんで外を歩いてる知らんおばちゃんと目が合ってしまい、思わず会釈したら会釈を返してくれた

窓とはそういうものである★
Posted by 女神ちゃん女神ちゃん at 2010年05月15日 21:58
女神ちゃんさま
確かにありますね、そおゆうこと。そおゆう時って、けっこう間がわるいものですよね。目をそらすわけにもいかず・・・あちらさんも、見て見ぬふりをしてくれればいいのですがね。
Posted by narhara at 2010年05月17日 09:42
日も一日楽しく過ごそうね(*^‐^)ノ
う~♪元気にがんばってますか(??)
Posted by yi at 2010年06月25日 11:18
 
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