2010年04月29日
CLUB1981

1981春・・・。
俺達は高校を卒業した。
これで自由だ!
自由とは?
パチンコ行っても、飲みに行っても、ポルノ映画行っても、ストリップ行っても・・・とりあえず、補導されない、という名の自由。もう、ビクビクしなくてもいい!!
こりゃサイコーだ。
悪くないぜ!
この瞬間を、ず~と待っていたんだぜ!とりあえず、街を、くわえタバコで歩いてみた。
「どうだい?誰か俺を捕まえてみろよ?捕まえれるものならば・・・」
俺とI君とS君は、けじめでもある『卒業ライブ』を決行した。
どんなふうだったかっていうと・・・こんな感じでした。
http://projectstaff.hida-ch.com/d2008-06-02.html
4月になると、俺達はバラバラになる。
I君は、某食品メーカー。
S君は、陸上自衛隊。
俺は、家具屋。
「これから先、一体どうなってしまうのだろうか?」などという心配なんてこれっぽっちもない。
『疲れ』など感じない。
どんなことでも楽しいと感じる。
そんな3月の終わり。
俺達は、名古屋のA君のところに遊びに行った。
「こうやって、A君のところに行くのも、最後かもしれないな」と、I君。
「また、盆とか正月とか、集まれるさ」と、S君。
「今度は、車でも乗って・・・」と、俺。
JR(当時は国鉄)に揺られながら、多少アンニュイな空気になったも事実だ。
みんな、『このまま、遊びほうけていたい!』と、思っていた。
『仕事なんかしたくない!』と、思っていた。
『年なんかとりたくない』と思っていた。
みなさんも、思いませんでしたか?
A君は、飲食店を任されるくらいになっていた。
A君の店は、名古屋市金山にある、喫茶店(ブルーホワイトって店名だったっけ?)。
俺達3人は、この店に入り浸り、漫画読んだり、最新式のインベーダーゲームしたり、そんなことしながら、A君が店を終わるのを待っていた。
そこに、店主(オーナーというべきか?)、がやって来た。
俺達も、何回か会ったことがある、その人物は、『森のくまさん』みたいな顔をした人で、けっこう面倒見が良かった。
それまでも、何回か、ご飯をご馳走になった。
「こんにちは、お久しぶりです」と、俺達3人は頭を下げた。
「お~、元気か?」
「はい」
「お前ら、卒業したのか?」
「はい・・・まあ、なんとか・・」
「そうかそうか、そりゃお祝いしなくちゃな、ハハハ・・・」
オーナーは、店の奥にある、事務所?に入っていった。
この、オーナーについて少々・・・。
正直、彼は『SMマニア』だった。
「SMマニアなんですか?「はい、そうです」などと、会話したわけじゃない。
店の2階が休憩場所になっている畳部屋で、俺達もよくそこで、たむろさせてもらったけど、そこの本棚に『SM雑誌』が、何十冊と並べられていた。
「これ、誰の本?」と、A君に尋ねると、「オーナーの本」と、答える。
「オーナーって、SMマニア?」と、俺。
「たぶんな、いや、俺も本当のところは知らないけど・・」とA君。
1年ほど前、オーナーは、高山に帰る俺達にこう言った。
「ちょっと、買い物をして、俺の住所に送ってくれないか?」と。
「いいですよ、もちろん、何を買えばいいんですか?」と、俺達。
「赤い、大きくて太いロウソク5本」と、オーナー。
「・・・わかりました・・・でも、名古屋にだって、あるんじゃ?・・・」
「飛騨のロウソクじゃないとダメなんだよ・・・」
「・・・・・はい・・・・・」
このとき俺は確信した。
オーナーは、完璧にSMマニアだと。
ちなみに、飛騨のロウソクが、SMプレイに適しているかどうかは、さだかではない・・・・。
その夜・・・。
「オーナーが、キャバレー連れていってくれるってさ、よかったな・・」と、A君。
「マジかよ!やってもいいのかよ?」と、S君は喜んだ。
「いや、やべーよ、無理だろ、ちょっと、経験的に、そりゃ、ちょっと・・」と、ためらうI君。
「なあ・・・キャバレーってどんな感じなの?・・」と、俺はA君に問いかける。
「まあ、具体的に言うと、なまち○触れる、なましゃ○してくれるし、そのまま出してもOKだし、そうそう、なま○○を触っても舐めてもOK、こんなとこかな?」と、A君。
さすがA君はいつも大人である。
「やれねえのかよ?」と、S君。
「やれねえよ、けどスゲーぜ」と、A君。
「いや、ちょっと無理だ、いくらなんでも、キャバレーはちょっと・・・」と、内向的なI君。
「そりゃ行きてえけど・・・・自信がいまいちない・・・」と、意気地なしの俺。
「どっちにするんだよ?」と、A君。
「こんなチャンスは、めったにない、行こう!」と、前向きなS君。
「待てって、やめたほうがいいって・・」と、慎重なI君。
「行きてえけどな・・・なんか、怖えな・・」と、素直な俺、素直でしょ?
結局、すったもんだの末、キャバレー案は流れた。
そして、それに変わって、『クラブ』に、連れて行ってもらうことになった。
オーナーのおごりであることに変わりはない。
クラブだと、なまち○、なましゃ○、なまま○○、はない。
女性が、横に座り、お酒をついでくれて、お話をする。
多少、酔った勢いで、腿をタッチすると、「ダメですよ、お客さん・・」と、かる~くたしなめてくれる。
と、そんな場所。
俺達は、「クラブのほうでお願いします!」と、オーナーに頭を下げた。
「おー、じゃ行くか、卒業祝い・だ・が・ね(名古屋弁)」と、オーナーは言った。
オーナーの後に続いて、禁断の扉を開けた・・・。
「お兄さん、いくつなの?」
「・・・・20?かな?・・・・」
「大学生?」
「・・・・ええ・・・まあ・・・・」
「学校はどこなの?」
「・・・名のるほどの、学校ではないんで・・・・」
「お酒は、いつもどのへんで飲んでるの?」
「・・・・そこらへんで・・・その・・・なんて言うか・・・」
「屋台とか?赤ちょうちんとか?」
「・・・そうです・・・たぶん屋台・・・だったりして・・・」
会話はまったくはずまない。
まともに、横についた女の人を見れない。
ビビッている。
でも、ビビッていることを、悟られたくない。
タバコをくわえると、ライターで火をつけてくれる。
「すいません」と、頭を下げる。
「いいのよ」と、横の女性は微笑む。
『早く出ようよ!』と、心の中で叫ぶ。
しかし、その叫びは届くはずもない。
オーナーとA君は、リラックスして、肩に手をまわしたりして、楽しくやっている。
I君とS君は、なぜか猫背になっている。
俺は、ホステスの胸元をチラッと見る。
胸の谷間が見える。
香水の香りが漂う。
しかし、何をどうしていいのか?、何を話していいのか?、どうとりつくろえばいいのか?
「私の胸大きいでしょ?」
「・・・いや・・・見てないですよ、俺・・・」
「別にいいのよ、緊張しないでね」
「緊張なんかしてないですよ・・」
「フフフ・・・、リラックスして」
「・・・・はい・・・・」
ダメだこりゃ。
もし過去に戻れるならば、昔の俺を殴ってやりたい。
帰りの車の中・・・。
「どうだった?楽しかったか?」と、オーナー。
「ありがとうございます」と、律儀なI君。
「興奮しました」と、HなS君。
「また、行きたいです」と、心にも無い事を言う俺。
「オーナー、こいつらじゃまだ無理ですよ、あと1年くらいたたないと」と、A君。
「そうか、まあ、何事も経験・だ・が・ね(名古屋弁)、ははは・・」と、オーナー。
高山に帰り、数日後、俺とI君は、高山駅でS君を見送った。
「じゃな」と言って。
翌日、俺はI君も見送った。
「またな」と、言って。
そして、一人になった。
俺は、荷物をまとめた。
明日は俺の番だからね。
1981年春・・・・。
天気は穏やかであり、俺達は自由を手に入れた。
『大人』としての自由を。
そして、『大人としての自由は甘くないよな・・』と、感じていた。
みなさんも、そうだったんじゃないですか?
BYナリハラ
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Posted by PSPスタッフ at 13:56│Comments(1)
この記事へのコメント
面白いブロックですよね。
Posted by バイト at 2010年05月15日 00:44