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2010年03月26日

TAXI DRIVER DIARY

TAXI DRIVER DIARY

PM11:00

人の波、車の波、クラクションの重なり合う音、ネオン、二酸化炭素、「ねえ、聞こえる?今どこ?・・」と、携帯で話す女性、ヒールの音のアンサンブル。「ばんざーい!」と、意味なく叫ぶ中年2人。口臭、酒臭、体臭、街臭・・・、様々な匂いのうず。スキンヘッドの罵倒、政治家くずれの罵声、ティーンエイジャーのカナギリ声「キャー!!」・・・。



そんな光景を、フロントガラス越しに見つめる。




街の雑踏に意味なんてない。
意味を考えてもしかたがない。
結局のところ、今夜もこうしてタクシーを運転し、お客を乗せ、目的地まで運ぶ。
「2800円です・・」「ありがとうございます、またのご乗車をお待ちしております・・」
完結・・。
シンプル・・。
機械的接客・・・。





彼はタクシードライバーだ。




今夜の客は、一体誰だい?





池袋の繁華街で一組のカップルを乗せる。
スーツでネクタイの40代の男と、2ピースでタイトなミニスカートの20代?の女
『どうやら、今夜の主役は、あんたらのようだね?』





「どちらまで?」とドライバーの彼。
「・・目黒・・・」と、カップルの男。
「目黒のどちらまで?」
「いいから、出してくれ、近くなったら言うから・・・」
「・・・はい・・・」
彼はタクシーを出発させる。
カーラジオではFM電波にのった、クラシックジャズが流れる。
「ねえ、もっと音楽の音大きくしてくれない?」と、女は言う。
「うるさくないですか?」と、ドライバーの彼。
「いいの、もっと大きくして」と女。
彼は、ボリュームを上げる。
彼はボリュームを上げながら『やれやれ』と思う。
『やれやれ』だ。
案の定(あんのじょう)、バックシートのカップルは、おっぱじめる。


・・・案の定・・・だ。



男は女の、タイトミニの中に手を入れ、唇を強引に吸う。
女は男の股間をまさぐる。
男は自らネクタイをゆるめる。
女は自らジャケットのボタンをはずす。
衣服、皮膚、髪に 二人の唾液がへばりつく。
その唾液が、街並みのネオンに反射しキラリ・・・。
時折、女が「アッ・・・」と声を上げるが、BGMにかき消される。
ドライバーの彼は、バックミラーで時折観察する。
それに気付いた男が言う・・・おい、どこ見てるんだ!・・・。


「おい!どこみてるんだ!」・・・「・・・すいません・・・」



タクシーが信号でつかまる。
隣に止まった車の男は、びっくりした表情でこっちを見ている。
そんなことおかまいなしで、男と女はバックシートで、おっぱじめている。
まるで、誰かに見られるのを、楽しむかのようにだ。
いろんな匂いが車内にたちこめる。
ドライバーの彼が、その匂いに耐えきれず、ウインドウを降ろす。
「おい、窓、しめといてくれよ・・」と、男はつぶやく。
「・・・はい・・・」と、ドライバーの彼は、ウインドウを上げる。



男の指はマシンガンの雨のように、女の股間を責める。
「・・・ギャー!・・」と、奇声を発し、女は愛液をまき散らす。
その愛液は、車内のいたるどころに飛び散る。
ドライバーの彼の後頭部にまで飛び散る。


『・・・スコール・・・』と、ドライバーの彼は、心で思う。



タクシーは、目黒駅付近に近ずく。
「・・・あの、今、目黒駅、ですが・・・・」と、ドライバーの彼は一応声をかける。
「・・・そこらへん、まわっていてくれないか?・・・」と男が。
「・・・もう少しだから・・・」と息絶え絶えに女が。
タクシーは、目的もなく走る。
料金メーターは上がり続ける。
うつろな眼をした女は口に含む。
男は顔をくしゃくしゃにして我慢していたが、やがて射精する。
「・・・ウッ!・・」という声とともに・・・。
女は口に出された液体を右手でふき取り、それをバックシートにねぐりつける。


クラッシックジャズのBGMは、繰り返しA6コードで展開している。
男と女は、満足したようにキスを繰りかえす。



「・・・そろそろ、いいですか?・・・」と、ドライバーの彼は丁重に声をかける。
「・・・ああ、いいよ・・・・」と男が。
「・・・ねえ、音小さくしてくれない?・・」と女が。
「・・・では、どちらまで?・・・」
「・・・そうだな・・・品川方面流してくれないか?・・・」と男が。
「・・・横浜も悪くないんじゃない?ウフフ・・・」と女が。





AM8:00
ドライバーの彼は、タクシーを洗っている。
昨夜の様々な液体を、ふき取っている。
ファブリーズで消臭もする。
車は一通りきれいになった。
後は自分自身を洗うべきだろう。
ボクサーブリーフの中に、我慢できず射精してしまった、自分の股間を洗うべきだろう。
それをして、はじめて、今日の仕事は終了する。
完結だ・・・。




「よお、どうだった?昨夜は?」と、同僚が声をかける。
「まあまあだよ」と、彼は答える。
「まったく、この不景気もいつまで続くのかね?」
「不景気なんかじゃないよ」
「ん?」
「不景気なんかじゃないよ。金がある奴はたくさんいるよ。そして彼らから少しだけ分けてもらうんだよ、あぶくゼニをね。運が良けりゃ、いやらしいショーだって見れるさ」
「・・・ショー?・・」
「そう、ショーさ。ただ、見てるだけで参加はできないんだ。そのショーに参加できる身分じゃないってことさ。それが、俺たちタクシードライバーの宿命ってことかな・・」
「・・・・・・・・・・」




ドライバーの彼は、コンビニのトイレで、汚れたボクサーブリーフを脱ぎ、駅のゴミ箱に捨てた。




太陽はまぶしく、空気は澄んでいた。




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BYナリハラ
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Posted by PSPスタッフ at 11:10│Comments(0)
 
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