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2009年10月29日

ゲームセンター1981



名古屋と豊田の間の町の工場でサイレンが鳴った。
「終了」のサイレンが。
俺と、山本(名古屋のヤンキー)と、別府(べっぷと読む、九州の男)は、買ったばかりのカリーナST(49年式)に乗り込み、初夏の街をドライブする。
我々は、まだ18歳だった
山本は、パンチパーマが伸びきった髪に、斜め45度のサングラスをかけ、別府もまたアフロの出来損ないみたいな髪型で、ド派手なアロハシャツを着ていた。
名誉のために言っておくけど、俺はストレートへヤーに「甲斐BAND」と、プリントされたTシャツを着ていた・・・と、思う。
別に、友達じゃなかったけど、つるむべき奴が見つからず、しかたなくつるんでいた。
しかたなく、つるむ。


「大ちゃん(俺はこう呼ばれた)、ゲーセン行こまい・・」と、山本の名古屋弁
「インベーダーの、新しい種類、あるとね・・・」と、別府の九州弁
「じゃ、ゲーセン、向かうさ・・」と、俺の飛騨弁




山本と別府は、偉そうなことばっかり言う。
「名古屋の族は、だいたいツレ(知り合い)だがね。集会じゃ、顔が利くだら・・」と、山本。
(集会って・・・お前・・・車持ってねえじゃん・・・)と、俺は思った。
「去年、メンタ切られたんで、博多の港に、投げ込んでやったばい・・」と、別府。
(嘘つけ・・・お前が投げ込まれたんだろ?本当は・・)と、俺は思った。
ちなみに、別府は小さかった



ゲーセンは誰もいない。
俺達は、新しい機種の「インベーダーゲーム」の台を囲み、頭を突き合わせ、代わる代わるプレイした。



やがて、奥の扉が開き、ド派手なスーツに身を包んだ、おっちゃん二人が現れた。
短いパンチパーマに、金のネックレス・・・・本物のあっちの人達・・・・。




「よお、兄ちゃんたち、どっから来た?俺ら豊田に事務所あってな、困ったことあったら、助けてやるぞ」
と、言って名刺を渡された。
俺達は、目を見合わせ「・・・・」無言。
もう一人の男が、コーラを買って俺達に配る。
「まあ、飲みなよ。ここ最近熱いな・・」
山本と別府は「いただきます」とか言って、コーラを飲む
「兄ちゃん達、女いらね~か?安くしとくぜ?3のところ(3万だろうか?)、2で手をうったるで」
山本と別府は、無視したまま、インベーダーボードを眺める。
俺は答える「女はいらないです・・・」と、ビビリながら・・・。
「兄ちゃん、いらねえはずねえだろ?たまったもんはださねえと、健康に悪いぜ。事務所に女待機させてあるんだよ。これから一緒に行くか?なあ、兄ちゃん」
「・・・いや、いいですよ・・・ほんとに・・・いいですから・・・」
「ハハハ・・・冷てえな・・・兄ちゃん」そう言って、俺の肩に手を回してきた



俺達はビビッている。
目を合わせ、うなずき、「じゃ、帰ります」と言って頭を下げる。
「おい待てよ、コーラただで飲んで帰るのかよ」
「お金払いますがや・・・100円だら?」と、山本。
「おいおい、兄ちゃん・・・100円はねえだろ?利子って知ってるか?」
「利子・・?それ、何とね?」と、別府。



そんな、やり取りの末、俺達はなんとか車に乗り込む。
彼らは足をタイヤの下に出す
「よお、兄ちゃん・・・今動くと、俺の足ふむぞ・・・」
さらに、もう一人が手を伸ばし、ダッシュボードを開け、俺の免許証を見つける。
「ほお、岐阜か?俺らの兄貴も、岐阜よ・・・なかよくしようぜ、兄ちゃん・・・」
『・・・終わった・・・』と、18歳の俺は思った。
山本も別府も、いつもの勢いはなく、無言でビビッている。




「名古屋港の水はけっこう冷たい・・・」
「こめかみを殴り続けると、目玉が飛び出す・・・」
「一番痛いのは、指のつめを、ペンチではがされる時だ・・・」
そんな、話を散々聞かされ、結局、ブルーフイルムと映写機(ビデオ以前のお話です)、を、45000円で買わされることとなる。もちろん「金がない」と言うと、「だったら、借りてきな」と言われた。
「もし・・・サツにたれこんだら・・・わかってるよな・・・」と言われた。
「免許証は、お金と交換する・・・」と、言われた。
「お前らが、ブルーフイルムが見たいっていうから、売ってやるんだからな・・」と、言われた。




俺達は、いったん、解放され、一人15000円ずつを出し、その夜、再びゲーセンに行く。
「兄ちゃん達、ありがとな・・・こりゃ、いい買い物だぜ・・・モデルがいいし、全部見える・・・」
そう言って、お買い物の品と、免許証を渡された。
最後に、彼らはこう言った。
「わかってると思うが、お前らが、ほしいって言うから、売ってやったんだからな・・・ハハハ」




俺達3人は、終始無言で、その『ブルーフイルム』を、見る気には、まったくなれなかった・・・・。




2ヵ月後、山本の名古屋のダチが、その「ブルーフイルムと映写機がほしい」とのことで、売りに行った。
「なあ、ほんとに、おもしろいじゃろうな?」と、、ダチが聞くものだから、俺たちは答えた。
「嘘じゃないがね、ぞんぎゃーいいがや・・」と、山本。
「この女は、よかとね・・・」と、別府。
「これ、買わんと、そんやさ~・・」と、俺。
売値は20000だった。
「お前が、ほしいって言うから、売ったんだからな・・」と、最後に付け加えた・・・。




これは、ほぼ事実です。



まず、言いたいのは、特に若い諸君、やばいことに巻き込まれたら「まよわず警察」です。
彼らは、ビビらせるでしょうが、「それでも警察」です。



こんな、当たり前のことが、18歳の俺にはわかっていなかった・・・。



その後、そのゲーセンには行かなかった。
近寄らなかった。
当分は、びびっていた。
今は、懐かしい・・・。


山本と、別府は、今どうしているのだろうか?


あいかわらず、偉そうなハッタリを並べて生きているのだろうか?
そう考えると、笑えてくる。



インベーダーゲームの「キュン!」という音が、今でも二人のヤクザとリンクする。
たぶん、山本と別府も同じじゃないかな・・・・・・。










BYナリハラ








  
Posted by PSPスタッフ at 11:37Comments(6)