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2008年07月04日

SUMMER TIME BLUES


1980年代中期、夏の夕暮れ、静岡県の海沿いの道で、俺の車(ホンダシティ)が止まった。
「ヤベッ」と思いながら、何回もキーを回すものの、エンジンはうんともすんとも言わない。
「マジでどうする?」
俺は、汗だくになりながら、ギアをニュートラルにし、車を押し、安全な路肩スペースへ移動させた。
近くに電話ボックスも無く、車もほとんど通らない。
たまに来る車にヒッチハイクを仕掛けてみるけど、見事に振られて落ち込む。
仕方なく、ボストンバックを抱え、民家がありそうな場所まで歩いた。

東京で、3日ほど、ライブハウスや原宿、渋谷をぶらぶらし、東京在住のダチのアパートに泊まり、新宿からの中央高速で帰ればよかったものを、「やっぱ、夏だし、海沿いの道をゆっくりと・・・」なんて考え・・・・車は止まり、財布の中は1万ちょっと・・・。

1時間ほどで海沿いの民宿発見!
ブルーのペンキで塗られた木造の壁に、「Beach house」と書かれたアメリカ西海岸を彷彿させる看板がかけられている。
「今晩止めてください、おいくらですか?」
「2食付で、8500円だけど、君はお金持ってるの?」
民宿の奥さんは、髪をカリーヘアできめ、ピンクの麻でできたロングスカートを履いていた。
30代後半といった感じかな?
俺が、事情を話すと、「ちょっと待ってね」といい、中で御主人と相談、ロン毛に髭、ブルーのアロハシャツのご主人が出てきて、こう言った。
「君、まあ、金はいいから、泊まって行きなさい」
地獄で仏とは、この時のための言葉だろうね。


「いくつだい?」
「24です」
「どこの町から?」
「岐阜県の山の方です」
「サーフィンは?」
「サーフィンボードに触ったこともありません」
「スキーは?」
「まずやりません」
「釣りは?」
「小さい時に2度ほど・・・」
「君は、その山の町で、何をやってるんだい?」
「ロックバンドを少々・・・・」
「ビーチボーイズは弾けるかい?」
「3コードなら適当に・・・」
俺は手渡されたクラッシックギターのチューニングをし、むちゃくちゃ英語で「サーフィンUSA]を歌った。
ご主人と奥さんは「・・インサイド アウトサイド USA・・・」とコーラスしてくれた。
しかも、ハモっていた。


「あの・・・よかったら、しばらく・・・お金は要りませんから・・・働かせてくれませんか?」
「・・・・・・う~ん・・・・明日の夜は、ギターで何を弾いてくれるんだい?その答えによって決めよう・・・」
「・・・イエスタデイ・・・じゃ、だめですか?」
「いいんじゃない!わたし、ビートルズ好きよ」と、奥さんが答え、話は決まった。


翌日、俺は、バーベキュー用のマキを割り、風呂掃除をし、ご主人のサーフボードにワックスをかけた。

夜、マジで「イエスタディ」を歌った。

「明日は何を歌う?」
「そうですね・・・・プレスリーの、ラブミーテンダー・・・じゃだめですか?」
「いいね、期待してるよ」

翌日は、お客さんが5人ほど来て、海が見えるベランダでバーベキューを囲む。
その前で歌った「ラブミーテンダー、ラブミースイート・・・」。



家に電話をかける。
母親が出る。
「お前、どこにいる!何やってる!仕事どうする!悪いことしてないか!・・・・」
「とりあえず、わりーことしてねーし、無事だから、じゃ」と言って電話を切る。

なんか、全部、どうでもよくなってきた。
何が正解で、何が不正解なのか、何が正義で何が悪なのか、自分の人生をどうしたいのか?何を俺は希望しているのか?
波の音が聞こえる、町外れの民宿「Beach house」で、そんなことを考え出していた。


「いつまで、いる気だ?」
「とくに、決めてはいません」
「ぼちぼち、戻った方がいいぞ」
「ここが、良くなりました・・・」

ご主人は、ビールを飲みながらこう言った。
「なあ、どこでも同じだぜ。人間ってのは、飽きる生き物なんだよ。そして、やっかいなことに欲張りな動物だ。自分の人生に意味を持たせようとする。でも実際意味なんてないんだよ。暑い夏は冷えたビールが飲みたいし、寒い冬は暖かいシチューが恋しいように、環境によって欲望は変化する。この場所は、君にとってはカルチャーショックだったろうが、君の住む町となんら変わりない場所だ。そろそろ、夏休みも終わりにした方がいいんじゃないか?」
「夏休み?」
「そう夏休みだ・・・」


2日後、俺はバッテリー交換したホンダシティーのエンジンをかける。
カセットテープが作動し、止まった時と同じ「エルトンジョン」を流しだす。

「夏休みもおわりかね・・・」
そう、独り言をつぶやきながら、車を走らせた。
NEXTLIVE


インフォ・・・・中島美嘉、綾香などのカバーしているバンドでドラマー募集しています。掛け持ちOKということなので、お気軽にメールでもください。
BYナリハラ




Posted by PSPスタッフ at 13:54│Comments(5)TrackBack(0)

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この記事へのコメント
ナリハラさん こんにちは

「SUMMER TIME BLUES」タイトルを
見てブログの内容を読み始めた時、一瞬、
fiction?と思ったけど「俺の車(ホンダシティ)」で実話だとわかりました。

もう20年くらい前の話ですよね。
ホンダシティって車、流行りましたね。
いろんなボディカラーのシティが有ったけど
ナリハラさんは、ブルーのシティでしたね。
ちょうどその頃にナリハラさんと知り合い
当時、ナリハラさんは、「out of the works」と言うバンドで私は、「VACHELOR」ってバンドでで頑張ってた頃だと思います。

あのブルーのシティを思い出すと当時は、いろんなライブ会場でナリハラさんと、お互いのバンドで共演したり楽しかったことを思い出しましたよ。時代は、あれから20年近く経ち今回のブログを読みながら当時を思い出してました。
Posted by 陰陽師Ⅱ@ドラマー at 2008年07月05日 09:23
陰陽師Ⅱドラマー様
こんちは。あんた、よおおぼえとるな~。
ナイス記憶力!ホンダシティーは、いい車やったよ。だってさ、なんと、冷蔵庫標準装備だよ!さすがホンダ、オープンカーもあったんだぜ!
Posted by PSPスタッフPSPスタッフ at 2008年07月05日 14:53
シーティといえばモトコンポっていう車に搭載可能なスクーターがありましたよね。今思うとすごく魅力的な車ですよね。CMも超インパクトあったし。
しかし、今回のストーリーは実話なんですか?かっこよすぎます。
Posted by チトシ at 2008年07月08日 15:03
ぼく小学校1年(南小)でした。そのころ、、、多分。

シティのコマーシャル憶えてますねぇ〜
シティ!シティ!って踊って叫んで楽しそうでした。
とーちゃんにシティのプラモデル買ってもらったなぁ。黄色でした

ぶらり、家出したんすねぇ!
な〜んかいいっすね、そういう経験って。  かっちょいい!
Posted by じょ at 2008年07月09日 02:16
ちとしさま&南小のじょちゃん様
やあやあ、お久しぶりです。なんか、夏からか?グーたれておりました。みなさんもあるでしょ?そんな時・・・。で、ですね、SUMMER TIME BLUESというお話・・・すいません、嘘です。そんなかっこいい事あるわけねーじゃん俺にさ。BGMで「ビーチボーイズ」のサントラを流し、想像一発で書きました。ビーチボーイズ知ってる?反町&竹野内の。内容もほぼ、あれっぽくなっていると思いますが・・・。でも、シティーには乗ってたし、実際車は2回止まりました。
Posted by narihara at 2008年07月14日 11:43